第7回:『ハーレー・ダビッドソンの広告 その3』

2007.09.01 エッセイ

第7回:『ハーレー・ダビッドソンの広告 その3』


第7回『ハーレー・ダビッドソンの広告 その3』

Harley-Davidson “Brother Dave”/USA

グランドキャニオンを左手に眺めながら走る、1台のハーレー・ダビッドソン。

My older brother has a Harley. Mom told me his name is Dave.
 <僕の兄はハーレーに乗っている。名前はデーブと母が教えてくれた>
兄貴の名前を知らない弟なんて聞いたこともない。「これはおかしい」と誰もが思うだりおう。何で……? ということで、ボディコピーを読んでしまう。つまり、コピーライターの策略に、まんまとひっかるというわけだ。

「ハンドルを握った手の中に、ハーレー・ダビッドソンが雷鳴をとどろかせているのを感じながら、砂塵と風の広大な大地にでてしまうと、もうどこに突き進むのか見当のつけようが無い。ただ一つ確信をもっていえることは、道は果てしなく続いているということだ」そうか、そうだったのか。デーブ兄ちゃんがこの道をハーレーに乗って行ったのはずいぶん昔、弟がその顔も知らないくらい遠い昔のことなのだ。「一度走りだしたら最後、二度と降りたくなくなるオートバイ」とコピーライターは、この広告の読者にいわせるために、長い長い比喩で落とし込んでいるのだ。

「お前にハーレーの広告の良さがわかるか」といった意味が、やっとわかってきた。ハーレーの広告は、奥深い広告なのだ。

Harley-Davidson “Brother Dave”/USA
クリエイティブディレクター:Kerry Casey / Jim Nelson
コピーライター:Jim Nelson
アートディレクター:Paul Asao
フォトグラファー:Olaf Veitman
広告代理店:Carmichael Lynch
(1999年カンヌ国際広告祭印刷部門銅賞)

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金子 秀之

金子 秀之

早稲田大学商学部卒業。資生堂のアートディレクターとして前田美波里のサマーキャンペーンを担当。1973年博報堂のクリエイティブ・ディレクターとして、サントリーの「ブランディ水で割ったらアメリカン」キャンペーンを手がける。1993年(有)クエスターを設立。広告製作及び海外広告の紹介をして現在にいたる。