第3回:『トヨタ ハイラックスの海外での広告 その3』

2007.09.01 エッセイ

第3回:『トヨタ ハイラックスの海外での広告 その3』

広告のモデルといえば、いわゆる好感度の高い人を起用するのが普通で、美しいとか、明るい、面白い、清潔な感じの人が多い。
ところがオーストラリアで製作したハイラックスの広告では、怖そうなおじさんや、作業着を着た無精ヒゲのおじさんが出演している。そばにいくと汗の臭いがプーンとしそうな粗野な男を、なぜわざわざ起用したのだろうか。

ハイラックスは粗野な男が似合いますぞ! (その1)

コピー:if he's got a problem we've got a problem.
<彼の問題は、我々の問題>

この男性は意地が悪く、腕っ節が強く、荒っぽそう。もし彼がハイラックスに何か問題がおこれば、それは我々トヨタの問題です。こんな怖そうな男が怒ったら、トヨタに押しかけてきて社長をブン殴るかもしれません、と示唆している。もちろんジョークですが、こんな怖いことにならないように万全を期して、どんなことにも満足頂けるように、このハイラックスをつくっています、というのがこのメッセージ。

この広告は荒っぽい労働者だけをターゲットにしたのでは、と結論づけてはいけない。むしろ小型トラックを買いたいと思っている人、例えば主婦でも学生でも、誰もがその対象なのだ。コピーをシンプルにしているのは、いいたいことが伝わりやすく、「頑丈で壊れないトラックがお望みなら、ハイラックスです。こんな荒っぽいお客さんにもご満足頂けるのですから、他の方々に後満足いただけること請け合いです」といっているのだ。

TOYOTA Hilux/Sydney

Creative Director:Michael Newman/Fergus Fleming
Copywriter:Richard Grisdale
Art director:Fergus Fleming
Photographer:Gary Heery/Andrew Warm
Agency:Saatchi & Saatchi/Sydney
(1997年ニューヨークフェスティバル入選作品)

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金子 秀之

金子 秀之

早稲田大学商学部卒業。資生堂のアートディレクターとして前田美波里のサマーキャンペーンを担当。1973年博報堂のクリエイティブ・ディレクターとして、サントリーの「ブランディ水で割ったらアメリカン」キャンペーンを手がける。1993年(有)クエスターを設立。広告製作及び海外広告の紹介をして現在にいたる。