夏のドイツの風物詩「キャンピングカー&トレーラー」

2007.08.27 自動車ニュース

夏のドイツの風物詩「キャンピングカー&トレーラー」

夏の道路事情でドイツと日本に大きな違いがあるとすれば、それはキャンピングカー&トレーラーの数である。そんなドイツの自動車事情を、少しばかりご紹介しよう。

■日本のお盆さながら

ヨーロッパ各国は、夏のヴァカンス真っ盛り。それはもちろん、ここドイツも同じで、アウトバーン(高速道路)は渋滞シーズンに突入する。荷物を一杯一杯に詰め込んだ旅好きなドイツ人家族だけでなく、オランダ、ベルギー、ポーランドや北欧からもヴァカンス客がどっと押し寄せてくるのだ。
多くの家族の目的地はアルプス山脈の先、オーストリア、スイス、イタリア、そしてスペイン。特に南北を縦断する道路は格別の混みようである。

夏休みの時期は、国ごとに、ドイツ国内に限っても州ごとに微妙にずれている。そのため、しばらくの間は、さながら日本のお盆の帰省ラッシュが毎週末に繰り返されるような有様となる。

■いまやキャンピングカーの本場

自力で走る「キャンピングカー」は、1950年代にある一人の個人オーナーがフォルクスワーゲンの「トランスポルターT1」などを改造し始めたことから生まれた。

量産モデルが普及し、台数が増え始めたのは1970年代。これよりさらに古いのは、乗用車が牽引するタイプの「キャンピングトレーラー」で、1930年代からあった。

たいていのキャンピングカーは、デリバリーバンをベースに専門業者が作ったもの。圧倒的に多いベース車輌は割安なイメージがある「フィアット・ドゥカト」で、5割以上を占める。ドイツだけで17あるキャンピングカーメーカーはそのドゥカトを導入している。フォルクスワーゲン、メルセデス、ルノー、イヴェコ、シトロエン、プジョー、フォードなどもそれぞれのデリバリーバンを投入しているが、台数は少ない。
トレーラーの売上不調により、合併や買収劇も多くあったが、現在のメジャーなものは、ほとんどドイツの会社になっている。ハイマーグループ(Hymer)、クナウス・タバート(Knaus Tabbert)、ホビーグループ(Hobby)などだ。

■総勢100万台

ここのところ、牽引型のトレーラー系は減少傾向で、今年は初めてキャンピングカーの販売台数がトレーラーを上まわる見通しだ。それでも年間の新車登録台数はそれぞれ年間2万2000台と、日本では考えられないレベルにある。(現在、ドイツで登録されているキャンピングカーは41万台、キャンピングトレーラーは61万台……総動員すれば100万台だ!)

キャンピングカーのほうがウケる理由は、「トレーラーの時代遅れ的なイメージに対してお洒落なイメージがあること」「走行中の安定感」そして「トレーラーに比べ制限速度が高い」からだろう。総重量3.5トン以下のものは、高速道路で速度無制限。80km/hまたは100km/h制限のトレーラーに比べると、長距離走行のヴァカンス旅行者にとって、ありがたい相棒なのである。

■オランダのカタツムリ

さて、この時期の高速道路には、特に目立って多いのは、オランダの黄色いナンバープレートを付けたキャンピングトレーラーだ。統計数はわからないが、キャンピングトレーラーの所有率は間違いなくオランダ人がヨーロッパで一番だろう。
「オランダ人といえば?」ドイツ人にそう聞いたなら、おそらくキャンピングトレーラーの名が挙がる……それくらいポピュラーなものである。
口の悪いひとは、(オランダ人が)キャンピングトレーラーを引っ張る姿を「のろのろ運転」と、カタツムリに見立てて笑う。

もちろん、オランダ人もそのドイツ製キャンピングカーやトレーラーを使っている。皮肉にも、「のろのろ運転」の車両を供給しているのはドイツのメーカーなのである。

(文と写真=廣川あゆみ)

真っ白い「箱」が夏の道路をひた走る。ドイツの夏ではおなじみの光景だ。
夏のドイツの風物詩「キャンピングカー&トレーラー」
イタリアのデリバリーバン「フィアット・ドゥカト」をベースにした、ハイマーグループ(ドイツ)のキャンピングカー。
夏のドイツの風物詩「キャンピングカー&トレーラー」
なかには、自分の何倍もあるトレーラーを引っ張るクルマも……
夏のドイツの風物詩「キャンピングカー&トレーラー」
オランダからやってきたと見られる、黄色いナンバーのキャンピングトレーラー。
夏のドイツの風物詩「キャンピングカー&トレーラー」

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