【SUPER GT 07】 波乱の鈴鹿1000kmは、脇阪・ロッテラーのSC430が初優勝!

2007.08.20 自動車ニュース
GT500クラス表彰式。左から、2位のARTA NSX(伊藤大輔/ラルフ・ファーマン/井出有治組)、初優勝の宝山TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー/オリバー・ジャービス組)、3位XANAVI NISMO Z(本山哲/リチャード・ライアン/安田裕信組)。
【SUPER GT 07】 波乱の鈴鹿1000kmは、脇阪・ロッテラーのSC430が初優勝!

波乱の鈴鹿1000kmは、脇阪・ロッテラーのSC430が初優勝!【SUPER GT 07】

蒸せるような暑さ、そして突然の豪雨。最後はタイヤ交換でもうひと勝負……波乱に満ちたレースで最後に笑ったのは、予選11位スタートのNo.1宝山TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー/オリバー・ジャービス組)だった。

GT300クラスは、No.2 プリヴェKENZOアセット・紫電(高橋一穂/加藤寛規/吉本大樹組)が、ポールポジションから念願の今季初優勝を手にした。後続は、No.43 ARTA Garaiya(新田守男/高木真一組)。接触などトラブルで遅れながらも、渾身の走りと意地で2位まで戻ってきた。
【SUPER GT 07】 波乱の鈴鹿1000kmは、脇阪・ロッテラーのSC430が初優勝!

2007年8月19日、真夏の祭典として知られる鈴鹿1000kmレースの決勝が三重県の鈴鹿サーキットで開催された。酷暑のレースは、序盤からクラッシュなど荒れ模様の展開。
そんな中、終盤まで2位につけていたNo.1 SC430が逆転の今季初優勝。2位にはNo.8 ARTA NSX(伊藤大輔/ラルフ・ファーマン/井出有治組)が、3位にNo.23 XANAVI NISMO Z(本山哲/リチャード・ライアン/安田裕信組)が入り、3メーカーが表彰台を分けあった。

GT300クラスはポールポジションからスタートしたNo.2 プリヴェKENZOアセット・紫電(高橋一穂/加藤寛規/吉本大樹組)が磐石のレース運びで今季初の勝利を果たした。
2位にNo.43 ARTA Garaiya(新田守男/高木真一組)が続き、3位のNo.62 WILLCOM ADVAN VEMAC408R(柴原眞介/黒澤治樹)は今季初表彰台となった。

■NSX、初めてポールポジション逃す

今シーズン、開幕から連続でポールポジションを占領してきたNSX勢。だが今回の鈴鹿で、ついにその座を明け渡すことになった。

前日から酷暑の鈴鹿では、午前の予選で気温が35℃、路面温度が51℃まで上昇。ドライバーやタイヤにも大きな負担がかかり、一筋縄では行かないタイムアタックとなった。
結果的に、決勝グリッドを決めるためのアタック「スーパーラップ」に進出し、高いパフォーマンスを発揮できたのは、ハンディウェイトの軽いチームだった。

予選前日に行われた公式練習で、3番手のタイムをマークしていたNo.3 YellowHat YMS モバHO! TOMICA Z(セバスチャン・フィリップ/柳田真孝組)。「セットアップに手を加えたのが大当たりだった」という柳田は、予選1回目で4番手を獲得。午後からのスーパーラップに挑んだ。今季初めてとなるスーパーラップ。7番手に出走してトップタイムをマーク、残り3人のアタックを待った。
が、2番目にアタックしたマシンがクラッシュしたため、最終出走車両のアタックが一旦中断。タイヤを温め、戦闘態勢に入っていた次の車両、No.32 EPSON NSX(ロイック・デュバル/ファビオ・カルボーン組)にとっては、さらに周回数を重ねてのアタックというアンラッキーな出来事となったが、逆にNo.3 Zにとってはチャンス。
結局、No.32 NSXのタイムは柳田のタイムから約0.1秒遅れとなり、No.3 Zの今季初ポールポジションが確定した。2番手は不運に泣いたNo.32 NSX、そして3番手にはNo.25 ECLIPSE ADVAN SC430(土屋武士/織戸学組)。今季最高位の予選順位を獲得した。

一方のGT300クラスは、No.2 紫電の加藤が渾身の一発でタイムアップ。今季3度目のポールポジションを獲得した。2番手にはNo.43 ARTA Garaiya(高木真一/新田守男組)、3番手にNo.62 WILLCOM ADVAN VEMAC408R(柴原眞介/黒澤治樹組)が続いた。

GT500クラスのスタートシーン。開幕戦からポールポジションを独占していたNSXの連続記録を止め、念願のポールポジションを手にしたNo.3 YellowHat YMS モバHO ! TOMICA Z(写真手前)が、トップで第一コーナーを駆け抜ける。
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■酷暑の決勝レースは、序盤から荒れ模様

決勝日の早朝は曇天模様だったが、午前1時の決勝を迎える頃には灼熱の太陽が。気温も路面温度もぐんぐん上昇した。

今回の1000kmレースは通常イベントの2〜3倍となる走行距離だけに、各チームとも暑さ対策を意識したレース運びを見せるものと思われた。が、フタを開けてみれば、まるで連続でスプリントレースをしているかのような展開を見せた。
ポールポジションのNo.3 Zにかわり、予選4番手のNo.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/高木虎之介組)があっさりとトップを奪取。一方で予選2番手のNo.32 NSXはGT300のトップ争いの車両と接触。ペナルティを受けて、後退を迫られた。

ソフトタイヤを装着するチームは、酷暑でタイヤのグリップが早くも低下。前倒しになったピット作業のさなか、なんとNo.12 カルソニックインパルZ(ブノワ・トレルイエ/星野一樹/ジェレミー・デュフォア組)のマシンが出火! 消火作業に時間を要し、その隣にピットを構えるNo.3 Zのピットインが遅れてしまった。

GT300の周回遅れをパスしようとしたGT500の2台がメインストレートで激しく応戦。イン側ギリギリでのせめぎ合いに、ピットウォールにも当たりながらのバトルを見せるなど、レースは荒れ模様の様相を見せた。

各車1回目のピットインが終わり、トップにはNo.23 Z。ライバル達より早めのピットインを行うNo.23が一時レースをけん引するも、結果的にはピットイン回数が多くなるため、中盤を迎える頃には安定してハイペースを刻んできたNo.8 NSXがトップに浮上。これに予選11番手スタートのNo.1 SC、さらに、No.32 NSXが続いた。

■突然の豪雨、スリックタイヤで壮絶バトルに

上位3台がほぼ固定化し始めたころ、にわかに雲行きが怪しくなった。西コースでポツポツ振り出したかと思うと、サーキット全体はみるみる雨に包まれてしまった!
予定のルーティンワークが近かったこともあり、大半のチームは躊躇なくピットインし、ドライバーとタイヤをスイッチ。なかには、ピットインが重なったため大パニックになり、タイムロスを被るチームも出てしまった。

雨量は、強まるばかり。コースはまるでアイスバーンのような危険なコンディションになり、各マシンはコースに留まるのが精一杯。今季最多ポールポジション、No.18 TAKATA 童夢 NSXの小暮卓史も、メインストレート先の1コーナーでハイドロプレーニングを起して激しくスピン! マシンは大破してしまった。

優勝したNo.1 宝山 TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー/オリバー・ジャービス組)。
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2位のNo.8 ARTA NSXは、菅生の優勝から連続で表彰台。
1000kmレースでは1チームにつき、4、5回のピットワークを行う。毎回4本のタイヤを交換するライバルに対し、前輪の負荷が少ないNSX勢は作業が省けて有利。一時はSCに10秒を超える差をつけたが……。
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■勝利は、賭けに出たNo.1 レクサスSCの手に

猛暑に続いてドライバーたちを過酷な状況へと追いやった豪雨は、小一時間ほどであがった。
各車、濡れた路面をレインタイヤで走りつづけていたところ、なんと2番手No.1 SCがギャンブルに打ってでた。

トップNo.8 NSXとの差は7秒強。しかも周回ごとに1秒近く差が広がっている。大して3位No.23 Zとの差は1分近く。このまま消化試合をすれば勝ち目はないと踏み、チームではスリックタイヤへのスイッチを決意したのだ。

No.8がメインストレートを通過、その直後にNo.1のピット前にスリックタイヤが準備され、ロッテラーがピットへと滑り込む。金曜日の練習走行で新品タイヤに一度熱を入れる、いわゆる皮むき作業を済ませた“お取り置き”のタイヤを装着し、コースへ復帰。ライバルの唐突な作戦に対し、No.8も次の周にピットイン、スリックタイヤでの応戦と相成った。

No.8はかろうじてNo.1に先んじてコースへ戻ったが、冷えたままのタイヤでは相手にならず。すでにコース上に水は残っていなかったが、ロッテラーは水を得た魚のごとく大波乱の中を泳ぎきり、そのままチェッカーをうけた。

2位にはNo.8。3位はNo.23 Z。雨を境にピットインが集中した頃、前にいたNSX勢がピット作業で大混乱。これを味方に3位へ浮上。総合力の強さを見せ付けた。

GT300クラス表彰式。左から、2位のARTA Garaiya(新田守男/高木真一組)、ポールトゥウィンをきめた、プリヴェKENZOアセット・紫電(高橋一穂/加藤寛規/吉本大樹組)、3位のWILLCOM ADVAN VEMAC408R(柴原眞介/黒澤治樹)が並ぶ。
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■GT300クラスは、No.2 プリヴェKENZOアセット・紫電が初勝利

大いに荒れたGT500同様、GT300クラスも序盤からトラブルやハプニングで順位がめまぐるしく入れ替わる展開となった。その中で、ほぼ予定どおりの戦いを進めたのが、ポールポジションからスタートしたNo.2 紫電だった。降雨によるドライバー交代やコースアウトなど、少しドキリとする場面はあったが、トップを守りきり、待望の1勝を手にした。

次の舞台は、もてぎ。ストップ&ゴーのレイアウトを持つこのサーキットではクルマとコースとの相性も戦いに大きな影響が見られそうだ。

もともとホンダのお膝元であるサーキットゆえ、NSXは得意とするところ。しかしながら、シリーズタイトル争いを続ける上位陣は、ウェイトを搭載しているだけにブレーキがシビアになってくるのは間違いないだろう。

「有効ポイント制」が導入された今シーズン。1〜6戦までは獲得ポイント上位4戦のみカウントされ、第7戦もてぎ以降の成績はすべて加算される。これからの戦いは、さらに熱くなりそうだ。

(文=島村元子/写真=KLM Photographics J)

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