クラシック・ミニの祭典「20th ジャパン ミニデイ in筑波」
2012.05.01 画像・写真2012年4月29日、好天に恵まれた茨城県下妻市の筑波サーキットで、「20th ジャパン ミニデイ in筑波」が開かれた。これは全国34のスペシャルショップが加盟する団体「JMSA」(Japan MINI's Specialist Association)が主催する、「クラシック・ミニ」こと初代「ミニ」のイベントである。昨2011年秋に、浜名湖の渚園キャンプ場で開かれた「19th ジャパン ミニデイ in浜名湖」を『webCG』で紹介したが、「JMSA」では毎年春に筑波でサーキットイベント、秋に浜名湖周辺でピクニックイベントを開催しているのだ。会場がサーキットとなれば、プログラムは当然ながらレースが中心。スプリントから耐久までの「クラシック・ミニ」のレースに加えて、英国車系クラブによるヒストリック・スポーツカーおよびツーリングカー、そしてフォーミュラカーのレースが行われ、いずれ劣らぬ熱戦を展開した。クラブスタンドやスペシャルショップなども設けられ、訪れた多くの「クラシック・ミニ」愛好家でにぎわった会場から、リポーターの印象に残ったマシンとシーンを紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)

午前8時の走行開始時間を前に、パドックを埋めたクラシック・ミニ群。写真上方には葉巻型のヒストリック・フォーミュラが並んでいる。
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午前8時の走行開始時間を前に、パドックを埋めたクラシック・ミニ群。写真上方には葉巻型のヒストリック・フォーミュラが並んでいる。
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最初のプログラムは、英国車を中心とした1950〜60年代のマシンによるヒストリックカーレース「サイドウェイ・トロフィー」の、「TINTOP CUP」と呼ばれるツーリングカーの予選。タイムアタックすべく21台のマシンがコースインしていく。カーナンバー2は「フォード・カプリ」。3度のF1世界王者に輝いたジャッキー・スチュワートも駆った、往年のドイツ・フォード・ワークスの「カプリ2600RS」のカラーリングを模している。
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「TINTOP CUP」の決勝で激しく争う「フォード・アングリア」(左)と「ヒルマン・インプ」(右)。双方とも1960年代に「ミニ」と市場を争った英国製小型車だが、「アングリア」はオーソドックスなFRで、「インプ」はRR。表彰台を独占した「ミニ・クーパー(S)」勢に続いて「アングリア」が総合4位、「インプ」が5位に入った。
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同じく「TINTOP CUP」決勝で、終始三つどもえのデッドヒートを展開した「フォード・コルチナ」。ナンバー93の「コルチナGT」が、OHVエンジンのハンディキャップをはね返し、ロータス・ツインカム搭載の2台の「コルチナ・ロータス」を抑えて見事コルチナ勢のトップとなった。
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「TINTOP CUP」には、こんなのどかなマシンも出走していた。1956〜59年に作られた「オースチンA35」。山高帽を思わせる愛嬌(あいきょう)のあるボディーに948ccc直4OHVのBMC Aタイプエンジンを積んだ、ミニの先輩である。
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こちらもミニの先輩である「モーリス・マイナー」。ミニと同じくアレック・イシゴニス設計による大衆車で、誕生は1948年。この個体は1952〜56年製造の「シリーズII」と思われるが、最終型の「マイナー1000」は驚くべきことに1971年まで生産された。
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1960年代の葉巻型フォーミュラカーを愛好するクラブ「ヒストリック・フォーミュラ・レジスター」による「フォーミュラ」の決勝には、18台が出走した。これは「ロータス41」のシャシーに「ホンダS800」用エンジンを積んだ「ロータス・ホンダ」。
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予選で2位を3秒以上引き離した、文句なしにこの日の総合トップタイムである1分00秒604をたたき出し、決勝でも余裕でトップを独走した「ロータス41C」。だが、黄旗中の追い越しにより1周減算され、総合8位に終わった。
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「サイドウェイ・トロフィー」の「EVERGREEN CUP」と呼ばれるスポーツカーレース。決勝には16台が出走、ポールポジションのナンバー26「ロータス・レーシングエラン(タイプ26R)」以下、「ロータス・エラン」、「オースチン・ヒーレー3000」と、予選トップ3が決勝でもそのまま1〜3位に入った。
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「EVERGREEN CUP」で予選、決勝とも3位だった「オースチン・ヒーレー3000」。2.9リッター直6OHVエンジンを積んだ、通称「ビッグ・ヒーレー」の最強モデル。「マークI」は1959年に登場、最終型となる「マークIII」は68年まで作られた。
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「オースチン・ヒーレーWSMスプライト」。見たことがないクルマと思ったら、通称「カニ目」こと「オースチン・ヒーレー・スプライトMKI」をベースに、イギリスに多いスペシャリストの「WSM」がオリジナルのボディーを載せたレーシングカーとのこと。直後を走るのも、やはりカニ目ベースのスペシャルである「レンハム・スプライト」。
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「EVERGREEN CUP」で、なかなか健闘していた「モーガン4/4」。1936年にモーガン初の四輪車として誕生、基本的に同じ設計のまま今日まで作り続けられている、現代の奇跡のようなクルマである。
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濃紺に白いストライプという、かつてF1まで参戦していたプライベートチーム「ロブ・ウォーカー・レーシング」に倣ったカラーリングが施された「ロータス・エリート」。量産車(といっても生産台数1000台ちょっとだが)としては世界初となるFRP製のモノコックボディーを採用していた。
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「EVERGREEN CUP」で、英国車のなかで孤軍奮闘していた「ボルボP1800S」。ナンバー付き車両で、ロールの大きさから中身はほぼノーマルではないかと推察された。
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1985〜91年までに生産された「ミニ1000」ベースのマシンのみで争われる、ワンメイクレース「モチュール998チャレンジ」。21台が出走し午前中にヒート1、午後にヒート2が行われた。写真はヒート1のオープニングラップだが、先頭を行くナンバー12の「チキチキマシーン」が、予選1位、ヒート1、ヒート2とも制覇のハットトリック(?)を達成した。
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最速のミニを争うレースである「ミニ・スプリント」における激しいトップ争い。先頭は予選1位のナンバー88、その背後に予選2位のナンバー46、イン側に予選3位のナンバー19、アウト側に予選5位のナンバー99。
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「ミニ・スプリント」で優勝したナンバー46「ガレージCANTIC」。予選2位だったが、なんとボンネットピン(ボンネットを固定する金具)を挿し忘れてパレードラップ中にボンネットが吹っ飛んでしまった。ピットクルーが大あわてで拾いに行ったものの、あえなくピットスタートに。しかし最後尾から前をいく19台をごぼう抜きし、ついにはトップに立つという離れ業を演じて見せた。レース中に記録した1分07秒146のファステストラップは自身の予選タイムよりコンマ3秒以上速く、「フォーミュラ」の予選でも7番手に相当する。
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20台で争われた「ミニ・スプリント」には、こうしたオーソドックスなルックスのマシンも参戦していた。「ミニ」と読めるナンバー32を付け、10インチタイヤを履いた「オースチン・ミニクーパーS マークI」は、総合5位の健闘を見せた。
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表彰台ではちゃんとシャンパンファイトもあった。左側が「ミニ・スプリント」を制したナンバー46「ガレージCANTIC」の金蔵さん、右側が2位のナンバー88「インペリアルクラフト」の里山さん。3位入賞者は、なぜか姿を現さず。
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最後のプログラムは「ミニ60分耐久」の決勝。3人までのチーム(規定のピットインをすればドライバーは2人でも1人でもOK)で戦う耐久レースである。スターティンググリッドは抽選、スタート方法は第1ドライバーのドライビンググローブの片方を持ったドライバー/チームスタッフが駆け寄り、グローブを渡してスタートするという変則ルマン式。全29台が出走、2位に1ラップの差を付けて優勝したのは、「ミニ・スプリント」でも勝った金蔵さんを擁する「ガレージCANTIC」チームだった。
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