旧車イベント「土浦 昭和のくるま大集合 Vol.9」
2012.04.10 画像・写真2012年4月7日、茨城県土浦市の「新治ショッピングセンター さん・あぴお」の駐車場で、旧車イベント「土浦 昭和のくるま大集合 Vol.9」が開かれた。昨年は、東日本大震災の影響で中止や延期となるイベントが相次ぐなか、「自分たちは直接的な被害を受けていないのだから、こんなときこそ元気を出していこう」という主催者の判断のもとに、チャリティーの要素を加味して開催。その趣旨に賛同した旧車愛好家は少なくなく、約160台の参加台数は一昨年より10台ほど下回っただけだった。今回は、昨年は事情で参加できなかったオーナーも含めて、過去最高となる200台以上がエントリー。イベント名にあるとおり、昭和時代に作られたクルマならば生産国、種類、二輪・三輪・四輪の別を問わないというゆるやかな参加規定により、バラエティーに富んだモデルが集まった。昨年は震災による道路事情の悪化で中止せざるを得なかったツーリングも実施され、約半数の参加車両が、雲ひとつない好天のもと、桜あり、新緑ありの春のドライブを満喫。いっぽう継続こそ大切ということで、会場内では引き続き震災被災者への募金も呼びかけられた。なごやかな雰囲気のなか、日がな一日にぎわった会場周辺から、印象に残ったモデルを紹介しよう。
(文と写真=沼田 亨)

絶好のオープン日和のなか、ツーリングに出発する3台。先頭から4名フル乗車の1970年「ダイハツ・コンパーノ・スパイダー」、1966年「ホンダS600」、そして1960年「トライアンフTR-3」。
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絶好のオープン日和のなか、ツーリングに出発する3台。先頭から4名フル乗車の1970年「ダイハツ・コンパーノ・スパイダー」、1966年「ホンダS600」、そして1960年「トライアンフTR-3」。
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ミュージアムコンディションと言っても過言ではないほど美しく維持された、通称「デメキン」こと初期型(1961年)、そして最強モデルの「ヤングSS」(1969年)などの「スバル360」にリードされる、サブロク(360cc)軽軍団。
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スバルチームに続いていた1966年「マツダ・キャロル」、そしてローダウンされた1974年「マツダ・ポーターキャブ」と1970年「ダイハツ・ハイゼット」。ポーターキャブの助手席に見える麦わら帽(小道具?)がイイ感じ。
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1963年「マツダT1500」。1.5リッター直4エンジンを積んだオート三輪で、兄貴分である2リッター版の「T2000」ともども1970年代前半まで作られた。ウインドシールド越しにのぞく、手拭いとミラーグラスでキメたオトーサンのスタイルが最高!
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型式名TE71こと1982年「カローラ・レビン1600GT」。ジウジアーロの関与がささやかれる直線的なスタイリングがカッコイイ、DOHCの2T-GEU型エンジンを積んだ4代目「カローラ」のホットモデル。茨城県大洗町在住の現オーナーは、これを昨年2月に入手した直後に東日本大震災の津波の被害に遭い、このクルマも室内まで冠水してしまったそうだ。それを復活させエントリーしたという、所有歴は浅いが特別なヒストリーを持つ。
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見る人をみな笑顔にする1957年「BMWイセッタ」。見方によっては冗談のようなモデルだが、戦後のBMWの低迷期をちっぽけな体で支えた功労車である。後ろを走る「フォルクスワーゲン・ゴルフトゥーラン」が大きく見える。
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最近3度目の結婚が伝えられた郷ひろみがイメージキャラクターを務めていた5代目「カローラ」の「1600GT」(1985年)。AE86こと「レビン/トレノGT」と基本的に同じDOHC16バルブの4A-GELU型エンジンを積んだ、セダン系の最強グレードである。この個体は純正アルミホイールまで履いており、程度もすばらしい。
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右は2代目(1980年)、左は3代目(1984年)の「トヨタ・セリカ・クーペ」。2代目は、当時SOHCエンジンしか持たなかったライバルの「スカイラインGT」を暗にやゆした「名ばかりのGT達は、道をあける」という広告コピーが印象的だった後期型。WRC(世界ラリー選手権)で活躍した3代目も同じく後期型だ。
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1986年「ホンダ・シビックSi」。ロングルーフスタイルが特徴的だった通称「ワンダー・シビック」こと3代目「シビック」のハッチバック。「Si」はホンダの市販四輪車としては「S800」以来じつに16年ぶりとなるDOHCエンジンを搭載したホットモデルだった。純正アルミホイールが懐かしい。
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デビュー当時、クリーンなラインが新鮮だった「三菱ギャランΣ(シグマ)2000GSL」。1976年から80年まで作られ、そこそこヒットした初代「Σ」の前期型である。見たところアルミホイールを除いてはオリジナルで、コンディションも上々だ。
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1966年「プリンス・グランド・グロリア」。2代目「グロリア」のボディーに直6SOHC2.5リッターエンジンを積んだ3ナンバーの最高級車。5ナンバーの高級グレードである「スーパー6」とはフロントグリルの材質およびデザインが異なり、この個体では外されているが、ホイールキャップも違う。写真左上は、リアフェンダーに付けられたエンブレム。かなりの希少車である。
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2代目「コロナ」がベースの1961年「トヨペット・コロナライン・シングルピックアップ」(PT26)。2代目/3代目「コロナ」および初代「コロナ・マークII」には、シングルとダブルの双方のピックアップが存在していたのだ。もともと販売台数が少なかったので残存車両は希少だが、加えてこの個体はまだ陸運支局名がなく、単に「4」から始まる新車当時からの東京ナンバーを付けた超希少車。
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9台の特別展示車両のうちの1台である「マツダRX-7 252i」(1979年に「マツダスピード」がルマンに初挑戦したマシン)のレプリカ。オリジナルと同様に初代「サバンナRX-7」(SA22C)のボディーをモディファイし、クーゲルフィッシャー製インジェクションを装着した13B型エンジンを積んでいる。隣はドラッグ仕様の2代目「RX-7」(FC3S)。
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もう1台、特別展示車両を紹介。1962年「プリンス・スカイラインスポーツ・クーペ」。初代「スカイライン」のシャシーに、ミケロッティがデザインし、イタリアから招聘(しょうへい)した板金職人の指導の下にハンドメイドされたボディーを載せた国産初の高級パーソナルカーで、生産台数はコンバーチブルと合わせてわずか60台。しかもこの個体は、発売された62年に「スカイライン」や「グロリア」などプリンス車の購入者を対象に実施された懸賞セールの特賞として贈られた2台のうちの1台で、新車以来の「北5」(北海道)ナンバー付きというシロモノ。写真左上は、パネル展示された当時の告知広告など。
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「スカイラインスポーツ」が希少というが、ここにも2台並んでるじゃない……と思った方もいるかもしれない。だが、これらは同じミケロッティがスタイリングを手がけた英国産の「トライアンフ・ヴィテス」である。大衆車である「トライアンフ・ヘラルド」のボディーに直6OHV2リッターエンジンを積んだスポーツサルーンで、ほぼノーマルの右側が1965年式、レーシングライクなモディファイを施された左側は1967年式。「ヴィテス」の生産台数は3万台以上だが、2台並んだ光景は日本では相当に珍しく、オーナー同士も初めての体験とのことだった。
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1972年「ロータス・エラン+2」。ライトウェイトスポーツの傑作である初代「エラン」のホイールベースを320mm延長し、全長と全幅をそれぞれ600mm、260mmも拡大して2+2とした「ファミリーマンのためのロータス」。というと巨大化したように思えるが、実際のところ長さと幅は初代「サバンナRX-7」(SA22C)とほぼ同じ。それだけオリジナルの「エラン」がコンパクトだったのである。
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1966年「フィアット850スパイダー」。64年に登場したフィアット最後のリアエンジンモデルである「850ベルリーナ」のシャシーに、ベルトーネ時代のジウジアーロの手になるボディーを架装した小粋なスパイダー。ヘッドライトにカバーの付いたこの前期型の顔つきは、ちょっぴり「ランボルギーニ・ミウラ」に似ている?
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特徴的な昇降式ドアを持つ「BMW Z1」をアルピナがチューンした「BMWアルピナ ロードスター・リミテッドエディション(RLE)」。「Z1」は構造上エアコンが装着できなかったため北米や日本では正規販売されなかったが、この「アルピナRLE」は日本にも正規輸入された。プラスチック製のボディーパネルは割れやすいそうで、この個体のフロントフェンダーはカーボンファイバーで作り直されている。1991年式なので「昭和のクルマ」ではないが、その珍しさからエントリーが許可された。
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「MGミジェット」というと、「オースチン・ヒーレー・スプライト」のバッジエンジニアリングによるモデルを連想する方が多いと思うが、これは戦前型である1934年「MG PAミジェット」。直4エンジンは847ccながらSOHCで、しかもこの個体はスーパーチャージャー(エンジンルームに見える銀色の物体)を備えている。オーナーによるクラシックMGの解説は筆者も拝聴させていただいたが、楽しくて勉強になった。
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会場であるショッピングセンター「さん・あぴお」の駐車場に集まった、およそ200台の旧車。
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