2015年12月6日、東京・国立市の甲州街道沿いにある谷保天満宮およびその周辺で「谷保天満宮旧車祭」が開かれた。これは神社の境内をメイン会場とする、非常に珍しい旧車イベントである。そもそも谷保天満宮は、903年(延喜3年)に菅原道真の三男道武が父を祭ったことに始まる、東日本最古の天満宮という由緒のある神社。そんなところでなぜ旧車イベントが開催されるのかといえば、これまた由緒正しい理由があるのだ。
国産初のガソリン自動車である「タクリー号」を作らせたほどのクルマ好きで、“自動車の宮様”と呼ばれた有栖川宮威仁親王が、1908年(明治41年)8月1日に、3台のタクリー号を含む11台による日本初の遠乗会(ドライブ)を主催した。日比谷公園を出発した一行の目的地が谷保天満宮で、梅林における食事会の席で、わが国初の自動車クラブとなるオートモビルクラブジャパンが設立された。いうなれば谷保天満宮は、日本における自動車趣味発祥の地なのである。
それから100周年を迎えた2008年、偉大なる先達(せんだつ)に敬意を表すべく、地元国立の旧車愛好家が中心となって遠乗会を再現したイベントを開催。それをきっかけに翌09年から「谷保天満宮旧車祭」が始まり、今回で7回目を迎えたというわけだ。今回の参加車両はおよそ200台で、境内には収まりきらず、近隣の駐車場に第2・第3会場を設ける盛況ぶり。多くのギャラリーが訪れにぎわった会場から、リポーターの印象に残った車両と光景を紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)