クルマの免許で“夢”かなう
4月某日朝9時ちょっと前。JR桜木町駅の東口にて、「カンナム・スパイダーF3-S」のコックピットドリルをwebCG編集部のSさんから受ける。Sさんは大型二輪免許を持つビッグバイク乗りである。筆者は学生時代、HY戦争華やかなりしバイクブームのときに中型免許を取ったものの、その楽しさを知ることなく四輪に移行した残念な中高年である。「限定解除」という言葉に、いまも憧憬(しょうけい)と尊敬の念を抱かずにはいられない。
カナダ・ケベック州で誕生したという三輪の未知なる乗り物は、そんな元限定解除あこがれ少年の血をたぎらせる。1330ccの3気筒エンジンを燃料タンクの下に抱えこんだスーパーバイクの前輪を取っ払い、そこにフォーミュラカーのフロントアクスルを移植したかのような成り立ちを持つ。こんな怪物然としたマシンが普通自動車免許で乗れるなんて!

ともかく、巨大な燃料タンクをまたいでシートに座り、バーハンドルを握ってみよう。う~む、マンダム! またがる、というのがイイのである。悍馬(かんば)に乗るカウボーイ、あるいは騎馬武者のサムライ。もっと端的に言えば、あこがれのスーパーバイクをついに手に入れた! そういう心もちがする。
燃料タンク中央に配置されたキーを回してONにし、バーハンドル左側のECOと緑色で書かれたボタンをタッチしてから、右側のスターターボタンを押す。キュルキュルというスターターモーターの音に続いてバフォンと爆裂音がして、股の下に潜む直列3気筒が鼓動を始める。それはまさしくオートバイの振動だ。

エンジンがかかったら、パーキングを解除し、左側のグリップ近辺に設けられたセミATのパドルシフトを親指で押してNから1速ギアに入れ、あとは右側のグリップを回せばスタートである。ノークラッチだから簡単である。その上、カンナム・スパイダーは倒れる恐れのない三輪車だ。バランスを取らずとも、どっしり安定している。
とはいえ、慣れは必要だ。ということで、まずは駅前の道をグルグル回ってみる。1周目、赤信号で信号待ちしていると、女子高生3人組のひとりが横断歩道を渡りきったのち、筆者に、というか異形のスーパーマシンに向かってスマホを向ける。
JKも 思わずパチリ カンナムを撮る 桜木町 駅の前の春



