01:独特のデザインに引きこまれる!
〈アウディ〉ファンやスポーツカー好きにとって、TTモデルはそのデザイン性の高さで、まさに“記憶に刻まれる一台”といえるのは間違いない。特に、初代TTのデビュー当時を知る人ならなおさら。なにしろ1995年のフランクフルトショーで発表されたTTコンセプトクーペが、3年後にほぼそのままの姿でまさかの市販化。斬新なデザインコンセプトはもとより、見た目にも丸みを帯びた、これまでにない流麗なボディーを持つ初代TTが世の話題を大いにさらったのだから、忘れようにも忘れられない。
そしてその後もTT独自の斬新なデザイン性は、第2世代、第3世代へと継承。それは、今回ご紹介するTTクーペ 45 TFSIクワトロをベースにする特別限定車“TTクーペ ファイナルエディション”もしかり。フロントフェイスこそ、第3世代らしく精悍(せいかん)なマトリクスLEDヘッドライトやシングルフレームグリルでモダンに進化したものの、丸みを帯びたリアやなだらかなルーフライン、丸い造形のフェンダーデザインはまさに初代譲り。今でも全く古さが感じられないのは、やはりもともとが完成されたタイムレスなデザインであったという証拠といえるだろう。

“TTクーペ ファイナルエディション”。ターボブルー(写真)とタンゴレッドのボディーカラーはオンラインセールス限定で、すでに申し込み受け付けは終了している。
一方でそのことは、TTモデルがまさにデザイン性の高さを看板に掲げる〈アウディ〉のアイコン的存在であり続けていることと無関係ではない。というのも、〈アウディ〉のデザイン哲学こそがまさに“タイムレスなデザイン”だから。徹底的にシンプルでありながらも、際立つ個性を作り上げるのは〈アウディ〉の十八番。高い工作精度で美しいプロポーションに仕上げられた工芸品が長い年月愛用されるのと同様、TTクーペもまた、時代を超えて愛される〈アウディ〉らしいデザイン価値を持っているのだ。と考えると、“TTクーペ ファイナルエディション”を選ぶに至っては、「最後だから」というセンチメンタルな理由よりも、むしろ豪華装備とともに「〈アウディ〉デザインの真骨頂をずっと愛(め)でられる」という理由のほうが先立つかもしれない。まるでアート作品を手に入れるような感覚だが、クルマは美意識で選ぶという〈アウディ〉好きなら、「まさにそれ!」という人も多いかと思う。