プジョー207Cielo(FF/4AT)/207GT(FF/5MT)【試乗記】
アシに魅せられて 2007.04.12 試乗記 プジョー207Cielo(FF/4AT)/207GT(FF/5MT)……266万7300円/266万7300円
2007年3月20日に発売されたプジョーの新型「207」。本国フランスでディーゼルモデルを試乗した自動車ジャーナリストの笹目二朗が、日本に導入されたニューモデルを試す。
非凡なワルガキ
2007年の新車合戦において、ひとつの台風の目は間違いなく「プジョー207」であろう。登場後、早8年になる「206」はいうまでもなく今もってベストセラー街道を驀進中だが、その後継車の207もまた、2006年5月の本国発売以来好調な滑り出しを見せている。
プジョーと言えばサスペンションの素晴らしさは比類がなく、今度の心臓部はエンジンの第一人者「BMW」との共同開発となれば、まさに“鬼に金棒”(ちょっと古いか?)。プジョー大好き人間にとって期待せずにいられるわけがない。
筆者は、本国での発売直後にリース車を借りて、UK、アイルランド、フランスとすでに9000km弱を走っている。その時のエンジンはHDi(ディーゼル)であったが、アシのよさは重々確認済み。日本仕様のBMWエンジン搭載車の登場を心待ちにしていた。そしてチャンス到来。箱根のプレス試乗会に赴いた。
まずスタイリング。短いノーズに異様なほど切れ長の眼。全長に対するキャビンのボリュウムから言えばモノスペース的なプロポーション。歯をむき出した笑い顔、何ともヘンな恰好のクルマだと初見はそう思った。絶対値は全長4mそこそこの小柄な身体ながら、デカイ顔をしているワルガキのようでもある。
しかしこれを毎日見ていると、なかなか非凡に思えてくる。ドアの膨らみやテールの腰あたりの造形は、すこし離れてみるとウィンドウガラスとのノッチが効いて迫力がある。顔も遠くからみるとノーズの短さを感じさせない。じっくり時間をかけて彫り込んでいった造形物は、ためつすがめつ見ればみるほど引き込まれ、納得させられてしまうものがある。
内装は立体的で、廉価な実用車にしては手がこんでいる。細部の仕上げは、以前のプジョーの粗雑さを知る者にとって、プジョーじゃないみたいに上質だ。シートのできもいい。