サーブ9-3 SE2.0t(4AT)【ブリーフテスト】
サーブ9-3SE 2.0t(4AT) 2001.02.17 試乗記 ……350.0万円 総合評価……★★★日々の悦び
空力パーツを標準で纏う2001年型9-3SE。チンスポイラー、サイドスカート、黒いリアウィングで控え目にキメる。エンジンは、前年モデルと同じ2リッターターボながら、チューンが変わり、上級モデル「9-5 2.0t」と同じトルク重視型に。
軽い過給感。力強い加速。1960年代のトライアンフユニットにまで遡る2リッター直4は、2000rpm前後から早くも古くさいウナリ声を発するが、それはそれで個性である。ATセレクター頂部の「スポーツモード」ボタンを押すと、シフトアップが遅く、シフトダウンのタイミングが早くなり、そうとう活発に走れる。スポーティな味つけのシャシーと合わせ、街なかでも運転が楽しい。飛び抜けた性能はないけれど、適度に速い。日常の楽しみ。日々の悦び。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
9-3シリーズは、1993年にデビューした900シリーズの、いわばビッグマイナー版。GMグループのプレミアムカーとして1000カ所を超える細かなリファインを受け、98年のジュネーブショーで披露された。日本には、5ドアハッチと2枚ドアのコンバーチブルが輸入される。エンジンは、すべて2リッター直4ターボ。150psと205ps、2種類のチューンが用意される。
(グレード概要)
SE2.0tは、2.0tをエアロパーツで飾り、ウッドインストゥルメントパネル、レザーステアリングホイール&シフトノブ、前席ヒーターなどで、内装を豪華にしたモデル。オプションで、本革仕様、電動ガラスサンルーフといった装備を選ぶこともできる。右ハンドルのみの2.0tに対し、SEは左右を選択可能だ。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
各種ボタンのサイズが大柄で、使いやすい。革巻きステアリングホイールには、ラジオのボリューム、選局用のスイッチが装備される。「SE」グレードには内装にウッドパネルが奢られ、しかもメーターパネルの面積が大きいので、「プレミアム度」を上げるのに効果的。また、オペル譲りの左右対称のシフターにも革が被せられ、ブランドイメージ向上を狙う。
(前席)……★★★
ソフトなファブリックシート。こまめに掃除しないと、ホコリが目立ちそう。シート自体はほどほどのサイズで、サイドサポートをほとんど期待できないフラットな形状。追突時に前方に動いてムチウチを防ぐ「アクティブヘッドレスト」は、サーブがオリジンだ。
(後席)……★★★
足もと、頭上とも、必要十分な空間が確保される。サイドウィンドウがルーフに向かうにつれ室内側に湾曲するが、グラスエリアが広いので、圧迫感はない。フロアコンソール後端に、エアコン吹き出し口が設けられる。
(荷室)……★★★★
荷室最大床幅133cm、奥行き100cm、パーセルシェルフまでの高さ55cmと、広いラゲッジルームはサーブ車共通の美点だ。後席は、座面を前に折って背もたれを倒すダブルフォールディング式。ヘッドレストがクロスメンバーに残り、シートの背もたれだけが倒れる構造なので、ヘッドレストを外す手間がいらない。右シートのみを倒すこともできる。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
低回転域からトルキーな、力強い2リッターターボ。前年モデルより、パワーは4ps落とされたが、一方、最大トルクが2.2kgm太い24.5kgmになり、しかも発生回転数は3600rpmから1800rmへと低くなった。トランスミッションは4段だが、実用上不満ない。「ノーマル」「スポーツ」「ウィンター」の、3つのシフトプログラムをもつ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
シャキっとした乗り心地。足まわりは、街なかでも硬さを意識することなく、一方、高速道路では、しっかりして安心感が高い。リアは比較的ハッピーで、ドライバーは楽しい。活き活きとしたハンドリングだ。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2001年1月27日から2月2日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:3425km
タイヤ:(前)195/60R15 88V/(後)同じ(いずれもMichelin Pilot CX)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(7)
テスト距離:349.2km
使用燃料:56.0リッター
参考燃費:6.2km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。