1997年にデビューした初代から数えて4代目となる新型「スバル・フォレスター」が登場すると聞いた時、3代目とは少しポジションが異なるのではないかと予想した。なぜならこの間、「インプレッサXV」という弟分が生まれたからだ。カジュアルなSUVという役割は弟に任せることで、兄貴分のフォレスターは別のステージへ移行できるのではないか。
果たして新型フォレスターの第一印象は、「大人びた」というものだった。従来型は直線基調のワイルドさが特徴だったが、新型はSUVらしい力強さや信頼感はそのままに、洗練されたフォルムとなっているのだ。
具体的には、キャラクターラインやホイールアーチに抑揚のあるデザイン処理を施すことで、フォレスター(=森の住人)が都会にも似合うようになった。Aピラーの下端部を200mm前方に移動して全体のフォルムが伸びやかになったことも、洗練されたと感じる理由のひとつだろう。
ただしデザインが都会的になったといっても、厚化粧をするタイプのおしゃれではない。適度な運動によって筋肉に健康的な隆起が生まれ、血色や肌ツヤがよくなったと言えばフォレスターの造形の変化をイメージしていただけるだろうか。
ターボモデルと自然吸気モデルの外観が異なることも新型フォレスターのデザインのトピックだ。ターボモデルはボンネットのエアインテークをなくし、かわりにフロントフェンダーのデザイン処理で内に秘めた高性能を表現している。
プレーンで育ちのよさそうな自然吸気モデルと、未来的なニュアンスもあるターボモデル。性能だけでなく、デザインでどちらを選ぼうかと迷う人が出てくるかもしれない。
インテリアの意匠も、基本的には外観と共通のコンセプトでデザインされている。すなわち色やラインをごちゃごちゃ重ねるのではなく、すっきりとさせることで上質な雰囲気となっている。水平方向に伸びるラインは広々とした印象を与え、ブラックとシルバーを基調としたカラーコーディネートによってシックなイメージとなっている。
細かい話ではあるが、じっくりと観察すればシルバーのパーツの表面がサテン処理されているなど、細部にいたるまでデザイナーの気配りが行き届いていることがわかる。
外観のホイールアーチなどの処理にも言えることだが、きめ細かくデザインされているのが新型フォレスターの造形の特徴だろう。
内外装を一通り確認したところで、自然吸気モデル「2.0i-L EyeSight」から試乗を開始する。