日産プリメーラ 25X 【試乗記】
次元が違う 2002.09.27 試乗記 日産プリメーラ 25Xちょっと奇抜な衣を纏い、2001年1月にデビューした3世代目プリメーラに、小林彰太郎が試乗した。
会員コンテンツ「Contributions」より再録。
かなり冒険的
まず「25X」セダンから試す。SUVやワンボックス大流行の波に押されて、本来の3ボックス・ファミリーセダンは衰退の一途をたどっているが、新型プリメーラは、この傾向に歯止めをかけるかも知れない。外形、インテリアともにそのスタイリングは充分に先進的かつ魅力的で、強豪ひしめくヨーロッパ市場でも、堂々と自己主張するだろう。
ダッシュ周りの設計はかなり冒険的だが、よく考えられており、慣れれば使い勝手は良い。計器類はセンターの奥に置かれており、ドライバー直前のダッシュボードにはなにもない。
たまたま試乗した車のこの部分は明るいベージュ色だったが。これは眼に眩しいので、買うならもっと暗い色を注文すべきである。
国際的レベル
2.5リッターエンジンは、比較的大きな4気筒としては例外的にスムーズかつ静粛だ。最新のハイパーCVTは非常に賢明で、ドライバーの意思をすばやく感知し、状況に対して最適な変速比を瞬時に選ぶ。25Xに標準装備のCVTでは、1から6までの変速比をティプトロニック式に手動選択できる。全般的にハイギアードなので、これは箱根ターンパイクのような長い上りを活発に登坂するとき重宝する。
ハンドリングと乗り心地は、国際的にもきわめて高いレベルで両立している。乗り心地が絶対的に硬すぎた初代プリメーラ、その反省から操縦性まで鈍化してしまった先代とはまるで次元が違う。
セダンまさり
ワゴンは2リッターの「20L」に乗った。ドライバー独りだから、パワー的にはこれでも充分で、ターンパイクを80-100を保って楽に上った。マニュアル操作はないので、Dをキープするほかないが、スロットルをコーナー手前で緩めても、やたらにアップシフトする恐れはないし、下り坂でもエンジン・ブレーキが確実に効く。
シャシーの基本性能は、セダンに勝るとも劣らない。むしろこの方が安定感があると思った。しかも、タイア(ダンロップ・スポーツ)はさきのセダンより1ランク下の205/60R16なのである。
外形デザインは、セダンよりもいっそう美しいと個人的には思うくらいだ。ちょっと誉めすぎたかな?
(文=小林彰太郎/写真=河野敦樹)