メルセデス・ベンツA180ブルーエフィシェンシー スポーツ(FF/7AT)【試乗記】
別モノに変わった 2013.03.14 試乗記 A180ブルーエフィシェンシー スポーツ(FF/7AT)……364万円
旧モデルから大きくスタイリングの変化を遂げた新型「Aクラス」。中身はどう変わったのか。その魅力を確かめた。
老成を拒否した
これはヴァカモノのクルマである。と、私は走り出して数秒後に脳内で断じた。ヴァカモノとは、たいてい若者で、粋がる人のことである。スティーブ・ジョブズの言葉を思い出していただきたい。ステイ・フーリッシュ! アントニオ猪木だって、言っている。「馬鹿になれ」。それにしても、自動車を発明した、自動車界の老舗中の老舗、帝王メルセデス・ベンツがかくも老成を拒否し、フーリッシュたらんと欲したとは!
京塚昌子的「Aクラス」は消え、浜崎あゆみになってしまった。「Sクラス」とぶつかってもダイジョウブ、という初代Aの精神はここにはない。いまやレーダーで衝突を防ぐ時代であるにしても、あんまりではないか。新しいデザインのテーマは「情感に訴える」である。いわば王道に反旗を翻す、戦国時代の傾奇者(かぶきもの)的スピリット。クリス・バングル時代のBMWもかくやのコンケーブ・コンベックス(凹凸)サーフェイスで、ワイド&ローのプロポーションはスポーツカーのデザイン文法の2ボックスへの適用なわけである。さよなら、サンドイッチ構造。
新型Aクラスの日本仕様は「A180」と「A250」に大別される。前者は1.6リッター、後者は2リッターで、いずれも直噴4気筒ガソリンターボとなる。A250はAMGが開発の初期段階から関わったという210psの高性能モデルで、「シュポルト」というサブネームがつく。A180にはスタンダードと、AMGスタイリングパッケージ、15mmシャコタンの「スポーツ」があり、私が試乗したのはこちらである。122psしかないのに、見た目はアーエムゲー。なんたる傾奇ぶり!