マツダ・アテンザセダン25S Lパッケージ(FF/6AT)/アテンザワゴン20S(FF/6AT)【試乗記】
“白身”の味わい 2012.12.29 試乗記 マツダ・アテンザセダン25S Lパッケージ(FF/6AT)/アテンザワゴン20S(FF/6AT)……313万6500円/280万9750円
「SKYACTIV(スカイアクティブ)」テクノロジーと「魂動(こどう)」デザインを採用し、生まれ変わった新型「アテンザ」。マツダの新たなフラッグシップモデルの実力を、まずはガソリンエンジン搭載車で試した。
技術もデザインも“全部盛り”
“事件”は、試乗が始まる前の説明会場で起きた。
「今日は白身の魚を味わってもらい、赤身のほうはまた後日ということで……」
マツダのフラッグシップたる「アテンザ」の試乗会なのだが、今回は主力となるディーゼルモデルがなく、ガソリンエンジンを積んだモデルだけで開催されたのだ。広報の方がそれを刺し身にたとえたわけである。
その後に挨拶(あいさつ)に立った主査の梶山浩氏は、ぶぜんたる表情で「作るほうは、そういうつもりではありません」と話したのだ。梶山氏が“前菜”と言われたと勘違いしていたことがわかって事なきを得たが、会場は一瞬緊張感に包まれた。マツダの本気が伝わってくる一幕だった。
今年2月に「CX-5」が発売されて好評を博したが、その勢いを継続すべく「アテンザ」のセダンとワゴンを投入した。新世代技術の「SKYACTIV(スカイアクティブ)」を全面的に採用し、「魂動(こどう)」という新しいテーマでデザインされている。いわば“全部盛り”なのだから、マツダの未来がかかったモデルなのだ。もちろん、全世界で販売されるワールドワイドな製品である。
長年世に広まっていた偏見を打ち破り、CX-5は販売数の8割以上がディーゼルモデルとなった。SUVには比較的抵抗の薄いパワーソースだが、ディーゼルエンジンを積んだ日本の乗用車というと、「いすゞ・フローリアン」あたりまでさかのぼる必要がある。しかし、アテンザも受注の約8割がディーゼルモデルなのだという。「マツダといえばディーゼル」という図式が、思った以上に浸透しているようだ。