ランチアもジープも「ひとつ屋根の下」

するとリヴィオさんはボクに、説明を始めた。
「アルファ・ロメオもフィアットブランドのショールームに統合することにしたんだよ」

今までフィアットブランドが置かれていたスペースの一角が片付けられている。新年早々、そこにアルファ・ロメオを置くための内装工事が始まるという。リヴィオさんの新たな接客スペースも設営されることだろう。

よく見るとジープは、ひと足先にフィアットの横に並んでいる。実はこのディーラー、数年前にランチアの販売店をフィアットの店に統合していた。
リヴィオさんの部下が解説してくれたところによると、「フィアット」「ランチア」「アルファ・ロメオ」そして「ジープ」を同一ショールームで取り扱うようにと、トリノ本社から運営指導があったのだという。つまり、フィアット系各ブランドを、ひとつ屋根の下に収めるというわけだ。

イタリアの自動車販売不振は深刻だ。2012年は毎月のように新車販売が前年同月比20%代のマイナスを記録し続けた。例えば、2012年7月の新車乗用車登録台数は、前年同月比21.4%減の10万8826台で、34年前の1978年以来最低の数字となった。続く8月の登録台数はわずか5万6447台で、データを発表したイタリア自動車輸入組合によると、1960年代初頭のレベルに戻ってしまったという。

イタリアで8月にクルマの販売が大きく落ち込むのは例年のこととはいえ、日本で同月に売れた「トヨタ・プリウス」や同「アクア」そして「ホンダ・フィット」を足したのとほぼ同じ台数(5万5153台。日本自動車販売協会連合会データから)しか売れなかったと言えば、いかに深刻かがわかるだろう。
そうした劇的ともいえる市場変化のなかで、効率的なディーラー経営が可能な体制に変身してゆくのは、一刻の猶予も許されない課題なのである。

アルファ・ロメオ販売のベテラン、リヴィオ氏。
アルファ・ロメオ販売のベテラン、リヴィオ氏。 拡大
カナダ製「クライスラー300」をベースにした新型「ランチア・テーマ」。価格は3万4000ユーロ(約374万円)から。
カナダ製「クライスラー300」をベースにした新型「ランチア・テーマ」。価格は3万4000ユーロ(約374万円)から。 拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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