子どもにも期待
ディーラー訪問の帰り、ボクは女房に頼まれた買い物をしに、通りがかりのスーパーマーケットに寄った。入口のチラシでお買い得品を確認すると、時節柄子ども向けプレゼントが多くを占めていた。
そのなかに、「アバルト695」の電動乗用おもちゃも掲載されていた。子どもが自ら乗って運転できるほか、保護者がリモコンで操作してあげることも可能と記されている。価格は99.99ユーロ(約1万1000円)である。心配なのは予約制であることだ。ここは流通体制がかなり心細いイタリア。本稿を執筆しているのはクリスマス前だが、商品が間に合って、親が無事子どもの枕元に置けるのかどうか少々疑問である。
それはともかく、イタリアではここ数年こうしたフィアットのオフィシャルライセンス商品がかなり増えた。言うまでもなく、近年最大級のヒット車種である「500」がモチーフの大半を占める。
歴史をひも解けば1920-30年代のフランスでシトロエンは、実車を縮小したミニカーやペダルカーをたびたび製作し、「Les jouets Citroen」の名で販売した。これは、創業者で宣伝の天才でもあったアンドレ・シトロエンの「幼いうちからわが社に親しんでもらえば、将来必ず顧客になってくれる」という考えに基づいたものだ。
願わくば、アバルト695の電動乗用おもちゃに乗った子どもたちがフィアット系に親しみをもち、十数年後にリヴィオさんたちの店ののれん(ないけれど)をくぐってほしいものである。
そんなことを考えた年の暮れであった。
(文と写真=大矢アキオ/Akio Lorenzo OYA)
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大矢 アキオ
コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』、『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。
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