有名菓子店の段ボールから人の立て看板まで

まずは、りんご箱同様、不要物編から。
【写真1】はボクが夏前に、必要に駆られてわが街シエナで段ボール集めをしたときのものである。収集したものをよく見ると、かなりの確率で「ナンニーニ 菓子店」「ナンニーニ コーヒー店」のものが混入していた(【写真2】)。
いずれも、元F1ドライバー、アレッサンドロ・ナンニー二が祖父の代から続く菓子店を引き継ぎ、シエナで営んでいるものである。
ちなみに彼は2011年5月、シエナ市長選に立候補して落選したものの、同時に行われた市議会選において、比例第1位で登録していた自身の党で当選し、議員となっている。

変わって【写真3】は、あるDIYセンターの片隅で発見したものだ。誰かが新しいガーデン用の置物を購入した際、放置していったのだろう。悲しげな背中が気になる。きっと、元オーナーが代わりに買っていった七人のこびとを恨んでいるのに違いない。
本当はライオンなのだろうが、かつて「いすゞ117クーペ」のシンボルマークとして採用されていたこま犬が、粗末に扱われているような気がしてしまうのは、やはり日本人だからであろうか。

はたまた【写真4】の光景を目撃したボクは、あまりの人物のリアルさに一瞬息が止まり、思わず「大丈夫ですか!」と声をかけたくなった。
発見したのは、元図書館を改装し、カフェを兼ねた書店&文房具店として開店したものの、保守的なシエナの街では時期尚早だったらしく、1年足らずで店じまいしてしまったところの前だった。せめて最後に目立ってやろうという、店主の憎しみが込められているような気がした。

【写真2】「ナンニーニ」のものが多い。
【写真2】「ナンニーニ」のものが多い。 拡大
【写真3】DIYセンターの片隅に放置されていたこま犬ならぬライオン。
【写真3】DIYセンターの片隅に放置されていたこま犬ならぬライオン。 拡大
【写真4】「だ、大丈夫ですか!」と思わず声をかけたくなった。
【写真4】「だ、大丈夫ですか!」と思わず声をかけたくなった。 拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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