フィアット見晴らし最高ッ!
いっぽうイタリアの自動車メーカーは、自国語を外国語に翻訳することなく堂々と商品名に使い、甘美な響きで世界のファンを魅了してきた。その高い母国語使用率は、隣国フランス車の比ではない。
そこで少々意地悪ではあるが、イタリア車の名称をあえて日本語に翻訳してみた。
まずはフィアット。往年の四駆「Campagnola(カンパニョーラ)」は「田舎の」または「田舎娘」という意味である。ずばり「フィアット田舎娘」だ。
かつて同社のステーションワゴンの車名に使われていた「Giardiniera(ジャルディニエラ)」は女性庭師を指す。
なお車名に女性を表すものが多いのは、自動車を意味する「macchina」がイタリア語で女性名詞だからである。
ワゴンには「Familiare(ファミリアーレ)」というのもよく使用されていた。こちらはお察しのとおり家族用である。日本で「家族用」という名前のクルマがあったと考えると、かなり面白い。
同様に往年のフィアット製ワンボックスに使われていた「Panoramica(パノラミカ)」は、「よい見晴らし」のことである。日本語にすれば「フイアット見晴らし最高ッ!」といったところか。
もっと昔のフィアットには「Balilla(バリッラ)」というのがあった。バリッラとはファシズム体制下の少年訓練組織の名称である。「フィアット少年兵」だ。ちなみにパスタのメーカー「バリラ」は創業者の姓である「Barilla」だ。お間違えなきよう。
今日も存在する小型車「Bravo(ブラーヴォ)」は「立派」を意味する。「フィアット・リッパ」というクルマがあると思うと楽しい。

大矢 アキオ
コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』、『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。
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