マクラーレンMP4-12Cスパイダー(MR/7AT)
ここから進化が始まる 2013.04.25 試乗記 マクラーレンMP4-12Cスパイダー(MR/7AT)……3882万2000円
「マクラーレンMP4-12C」のオープンバージョンが、日本に上陸。そのスーパースポーツとしての完成度を、ワインディングロードで確かめた。
屋根がないのはいいことだ
マクラーレンのロードカー「MP4-12C」に、「スパイダー」が加わった。一体型のカーボンファイバー製ボディー/シャシーを持つクーペの屋根を切開し、オープンエアーを楽しめるようにしたモデルだ。
リトラクタブルハードトップは、30km/h以下ならば走行中でも開閉が可能。後部のエンジンルームと車室の間には電動開閉式のリアウィンドウも存在するが、例えどんなにV8エンジンの音を「いい音」と思える人であれ、ルーフを開け放ってしまったほうが、音量の点では快適なものになる。風を受けて走ることが爽快なのは言うまでもない。コーナリングを本気で楽しめば、うっすらと汗ばむこともある。コーナーで風向きが変わる際にスーッと首筋に回りこむ、涼風の気持ちよさを味わうこともできる。
また、若干ではあるが重心高も下がっており、よりスポーツカーらしい雰囲気を提供してくれる。普通ならオープン化による車重の増加は避けられないところだが、このボディー構造は最初から計画されていたものであり、ルーフは強度部材の要ではない。開放したところで剛性的にはさほど変わらず、装備重量で1474kgという車重は、クーペに比べて40kgの増加でしかないのだ。さらに、この手のいわゆる囲まれ感というか、閉所感覚が苦手な筆者などは、ドアに不具合が出た際に脱出するひとつの手段としての、安心感が得られる。
3.8リッターV8ターボエンジンのパワー/トルクは、625psと61.2kgm(600Nm)。最高速度=329km/h、0-100km/h加速=3.1秒など、発表されている性能データはクーペとほとんど変わらない。価格は3000万円である。
このクラスの高性能車の内容からいえば、フェラーリやランボルギーニをライバルと考える人もいるだろう。でも乗ると、まったく違う種類のスポーツカーであることがすぐわかる。結論から先に言えば、初めてこのクラスのクルマの購入を考えているのならば、迷わず「フェラーリ458イタリア」をお薦めする。
MP4-12Cは、フェラーリを何台も乗り継いできた人や、コレクションとして複数所有する人が、浮気気分で(?)ちょっと他の銘柄も試してみようか……という軽い気持ちで乗るならば、今までとは別の世界を体感できるかもしれない。
およそ20年前に登場した「マクラーレンF1」も含め、スーパーカーのテストを比較的多く楽しんできた経験をもとに、MP4に対する正直な感想を述べてみよう。