品質管理=「不具合がなければいい」ではない

この「インフィニティ4.5活動」も含め、黒澤工場長の掲げる「競争力のある工場になる」という目標へ向けた取り組みは多岐にわたる。

例えば、現場からの要望に素早く対応するために、北米などの販売店と工場をダイレクトにつなぐ「コントロールルーム」を開設し、毎朝のテレビ会議を実施。また最終の検査工程には、静粛な環境でドア開閉時の異音や、その原因となる車内への異物の混入、電装品の稼働状況などをチェックできるよう、「サイレントルーム」と呼ばれる専用のエリアが設けられた。

また栃木工場では、工場の外まで品質保証の対象を拡大。これまでは工場出荷までだったものを、現地への輸送、輸出や、販売店での納車前検査も範囲に含めたことで、顧客の手にクルマが届くまで品質に対する責任を負うようになったのだ。

もちろん、「日本の工場の一番の強み」といわれる、人材の育成についても抜かりはない。特に栃木工場では「ブランドを作るのには、不具合がなければいいというものではない。ブランドとは何かを勉強する必要がある」として、「技」「感性」「プライド」を兼ね備えた人材育成に取り組んできたという。
具体的な取り組みを挙げると、製造分野の中でも、特に品質が重視される7業種35高等技能領域に、「匠(たくみ)」「マイスター」と呼ばれる人材等級を採用。
「塗装業界で例えると、板金や塗装、磨きなどの各分野に精通しているだけではなく、塗装機械のメンテナンスやティーチングができる、新型車へのフィードバックができるなど、マイスターレベルの人材には幅広いスキルが求められる。ここ(栃木工場)には、そういう人がたくさんいる」と、黒澤工場長も胸を張った。

第183回:プレミアムカーを日本から 競争の時代を生き抜く、日産栃木工場の取り組みを知るの画像 拡大
栃木工場では人材育成にも注力。こちらは従業員が工具や部品などを接触させてしまった際に、車体にキズをつけてしまったことを認識させ、自己申告を促す「二次キズ体験道場」。皆さん、この小さなキズ、見えます?
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完成車は、世界各地の路面パターンを模した1.3kmのテストコースを走行後、「サイレントルーム」と呼ばれる最終検査場へ送り込まれる。ここではドアやトランク開閉時の異音や、海外市場向けの電装品がちゃんと作動するかなどのチェックが行われる。
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