『ワイルド・スピード』の彼が相棒に

それから30年以上が経過してようやく念願のタッグを組んだのだから、激しいカーアクションが見られるに違いない、と思っていた。しかし、そういう映画ではなかった。“男の美学”を前面に出した物語で、ウォルター・ヒルの作品では『ストリート・オブ・ファイヤー』の系列だろう。

スタローンが演じるジミー・ボノモは、プロの殺し屋だ。元海兵隊員で、40年にわたって闇の稼業を続けてきた。逮捕歴は26回に及ぶが、有罪判決を受けたのは2回だけである。逮捕時に撮影された写真が若い頃から順番に紹介され、それを見ているとスタローンが歩んできた映画の記録を振り返っているような気持ちになる。演ずる側も観る側も、かつての勇姿をどうしたって思い起こしてしまう。

そろそろキャリアも終わりに近づいていたはずだが、信頼していた相棒を殺され、ジミーは復讐(ふくしゅう)に立ち上がった。同じターゲットを追っていた刑事のテイラーは、彼に協力を依頼する。殺し屋が刑事と組むわけもなく拒絶するが、テイラーが殺されそうになったところを助けたことからぎこちない連携プレーが始まった。ヒル監督の『48時間』はバディ・ムービーの古典として知られるが、これも同じジャンルなのだ。

テイラー役は、サン・カンである。『ワイルド・スピード』シリーズで、超絶テクニックを持つ放浪ドライバーを演じていた彼だ。しかし、この映画では運転の腕を見せる場面はない。

鈴木 真人

鈴木 真人

名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。

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