コイン洗車場は水浴び禁止!

代わって10年前くらいから、ようやくイタリアにも登場してきたのがコイン洗車場である。日本と違うのは、コインを直接機械に入れないことだ。場内に1、2台しかない両替機にコインを入れ、ジェットーネといわれるメダルと交換する。そのジェットーネを、洗車機や掃除機などに投入する仕組みだ。
なんでこんな二度手間をさせるのか? といえば、コインを盗むために機械を壊されるのを防ぐためである。加えて、管理人は防犯設備の付いた両替機からだけコインを回収すればよい。

料金は多くのコイン洗車場で、水洗い→洗剤洗い→すすぎをした場合、各50セントなので、合計1.5ユーロ(約195円)である。ただし洗車場によって、「洗剤」が先端からにじみ出すブラシ式と、高圧で噴射されるものと2通りある。汚れが落ちやすいのは、やはり自分でゴシゴシできる前者である。

それはともかく、場所によっては、水が出る時間が妙に短くて、管理人不在と知りながらも思わず「きったねェ商売をするな!!」と、叫んでしまうことがある。洗剤をすすぎきれないと、もっと悲しい気持ちになる。あくまでも体感値だが、イタリアのコイン洗車場の水が出る時間は、フランスやドイツに比べて短い。
それでも笑えるのは、時折「水浴び禁止」などという貼り紙があることだ。たしかに暑いときは、自分も浴びたくなる。

いっぽうで、同じコイン洗車場のなかにある自動洗車機は、一般的に15ユーロ(約1950円)から30ユーロ(約3900円)台と高い。直後に雨でも降ったら、泣いても泣ききれない。だからボクは、クルマを査定に出す前の日以外は使わなかった。

そうしたところ5年ほど前、わが街に3ユーロ(約390円)で使えるセルフ洗車機が、あるコイン洗車場内に登場した。値段は前述のウォーターガンによる通常コースの倍だ。だが、イタリアを走っていて避けることができないガラスにこびりつく虫の死骸がよく落ちるので、ボクは常連客となった。

ところが先日行ってみるとそのコイン洗車場が、いきなり5ユーロ(約650円)に値上げされているではないか。「いきなり6割以上の値上げとは、ひどいぞ」と怒りながら脇を見ると、レーザーウォッシュと名付けられた、より“高級”なノンブラシ洗車が4ユーロ(520円)に据え置かれている。実際使ってみると、今までの洗車機より、さらにきれいになる。
洗車場の管理者が、この矛盾にしばらく気づかないとよいのだが、とひそかに願っている今日このごろだ。

ようやくわが街にもコイン洗車場ができて、うれしさのあまり記念撮影。(2003年)
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最近はイタリアのコイン洗車場も、さまざまな設備が充実してきた。これは、ほこりを吹き飛ばすエアコンプレッサーと、車内用アロマスプレーのコンバイン機。
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大矢アキオのおすすめ。虫がこびりつくことが多いイタリアでは必携のウィンドウ用洗剤。
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「NERO GOMME」とは、タイヤワックスのこと。イタリアのクルマファンの間では愛用者多し。塗るだけで足元が締まるところは、さながら自動車版ソックタッチ!?
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大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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