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高精度計測車両を走らせて得た標高データを地図と組み合わせた図。高低のみならず前後方向にも正確なので、そのまま正確な3D地図ができ上がるほど。

これが高精度計測車両。自身で三点測量が行えるよう、精度のきわめて高い測量用のGPSを3基搭載、さらにカメラを複数台ルーフに搭載。室内は計測機器でいっぱいだった。

実際にクルマが走行できる道路か否かを確認するために、細道路の調査は軽自動車を使って行う。ルーフ上には360度カメラを搭載。
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これまでのカーナビは、緯度経度による平面座標つまり二次元のデータだけを主に扱ってきた。しかし実際の道路には高低差があり、高さも加味しないと完全とはいいきれない。特に、登り坂は燃費に悪影響を及ぼすし、これから普及が見込まれる電気自動車にとっては電力消費が激しく、できるだけ走りたくないところ。こうしたエコロジーの観点からも、高さデータは不可欠であり、これは時代の要請項目といっていいだろう。
この点を見越して、ゼンリンが3年ほど前から走らせているのが、その名のとおり高精度な計測機器を搭載した高精度計測車両。これまでカーナビには、一般道と高速などを識別してマップマッチングを行うための相対的データは備えていたが、この専用車両はそれとは比較にならない高精度の標高データを取得することができる。その精度は「誤差、数10cm単位、理論上は3~4cmの精度で計測できる」という優れもの。「調査は高規格の高速道路、都市高速道路、有料道路、国道の順に実施しており、一般道までターゲットにして進めている」とのこと。
こうして得られた高精度な標高データは、国土地理院発行の5mあるいは10mメッシュデータと一緒に、道路に対する標高データベースとして整備され、カーナビメーカーに提供される。事実、標高データを利用した電気自動車のエコルート探索実証実験など、燃費向上に向けた地図データベースの利用検討が進んでいる。カーナビでは、安全・安心・エコという付加価値の高い機能を提供するため、高精度な地図データを活用するという技術革新が、急速に加速していくであろう。





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