その先は単線の気動車

と書くと、イタリアの鉄道は天国であるが、そうは甘くない。ボクの場合、イタロが運行している区間のほかに、自宅があるシエナとフィレンツェの列車往復が加わるのだ。これが問題である。

旧イタリア国鉄系「トレニタリア」社のローカル線は、わずか70数kmの距離にもかかわらず、本数は1時間に1本程度である。特に深夜早朝は、運行間隔がさらに開いてしまう。
車両も貧弱である。2両編成のディーゼルカーだ。エンジン音も勇ましく、ボクなどは「エンジンの音、轟々と~♪」という軍歌「加藤隼戦闘隊」を歌いだしたくなる。

冷房付き車両もあるが、かなりの確率で壊れていたり、効きが悪い。扇風機のほうがよほどよい。夏の車内はエンジンの熱気も加わり、ときとして灼熱(しゃくねつ)状態になる。

さらに明かせば、かつてサッカーセリエAの街でもあったエンポリを過ぎると単線になる。途中駅で列車の交換待ちがあるおかげで、クルマだったら1時間前後で済むところを1時間32分もかかる。たった70kmちょっとの区間なのに、イタロでフィレンツェ-ミラノ間約300kmを移動するのと、ほぼ同じ時間を要するのだ。やれやれ、である。

モダンな特急を降りた途端、時代遅れな気動車。その格差はあまりにも激しい。これが日本なら、東京駅で新幹線を降りても、再びエアコンの効いた電車に乗れるのに思うと、悲しくなってくる。

これは乗客専用ラウンジ「カーザ・イタロ」のゴミ箱。一番右は、思わずiPhone用かと思った。
これは乗客専用ラウンジ「カーザ・イタロ」のゴミ箱。一番右は、思わずiPhone用かと思った。 拡大
この春開業したレッジョ・エミリア駅。超モダンな建物だが、今のところお客さんはまばら。東海道新幹線開業時の岐阜羽島駅をほうふつとさせる。
この春開業したレッジョ・エミリア駅。超モダンな建物だが、今のところお客さんはまばら。東海道新幹線開業時の岐阜羽島駅をほうふつとさせる。 拡大
フィレンツェ・サンタマリア・ノヴェッラ駅にて。イタロ(写真左)とローカル線用電気機関車が並ぶ。
フィレンツェ・サンタマリア・ノヴェッラ駅にて。イタロ(写真左)とローカル線用電気機関車が並ぶ。 拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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