「価格以上のおもてなし」なき国
背景には、イタリアの高い税率や労働賃金、日本のように徹底できない現地工場の品質管理、立ち遅れた民間医療への門戸開放、教育予算不足……と、本欄では到底語り尽くすことのできない問題がある。ともかく断言できるのは、「イタリアでは日本のユニクロのごとく、安くて、いいものを見つけるのは難しい」ということだ。
いっぽう最近の日本のニュースに話を移すと、国民生活センターには格安航空会社(LCC)に関する苦情が増加しているという。「価格以上のおもてなし」に慣れた日本の顧客に対して、サービスを提供する側が格安サービスにはそれなりの条件や背景が伴うことを、いかに納得できるよう説明できるかが、解決の鍵となろう。
なお同センターのウェブサイトによると、LCCに関する相談件数が多いのは20歳代だという。そこで気になるのはイタリア製品だ。ボクが20代だった頃、それらがたとえ少々使いにくかったり壊れたりしても「イタリア製だから、しょうがないぜ」で、その美しいデザインとともに笑って済ませていた。今になって思えば、それはたぶんに自動車雑誌の影響だが。
これからの日本の若いジェネレーションが、メイド・イン・イタリーをどのように評価してゆくのか興味深いところだ。
(文と写真=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>)

大矢 アキオ
コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』、『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。
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