ルノー・ルーテシア インテンス(FF/6AT)
脱・実用ハッチバック 2013.08.16 試乗記 4代目となった、新型「ルノー・ルーテシア」に試乗。新開発のエンジンとトランスミッションを得て、フレンチ・コンパクトの走りは、どう変わった?座って感じる、ルノーの味
雨にぬれた緑の芝生の上に、赤、青、黄色と、新しい「ルノー・ルーテシア」が並んでいる。赤と青のクルマには、アルミホイールの一部にもボディーカラーが使われ、わかりやすくオシャレさん。「小ぶりなハッチには、黄色がよく似合うねぇ」と眺めているうちに、われわれが乗るテスト車が戻ってきた。
「アオキさんには、やっぱり青のクルマでしょ!」なんて、わりとヒネリのないことを言いながら、広報担当の人が鍵を渡してくれる。目の前には、「ブルー ドゥ フランス」と呼ばれる青にペイントされたルーテシア。薄めの青で、派手すぎない、いい色だ。
ドアを開けると、「パック クルール ブルー」こと色を合わせたセットオプション装着車で、ホイールほか、ダッシュボード、ドアパネル、シートの一部などに、青い素材が使われる。最上位グレードのルーテシア インテンスにのみ用意される、“お楽しみ”オプションだ(受注生産)。ところが、内装に使われる青はやけに地味な色調で、ことにダッシュボードのそれは、粘土に練り込まれたような鈍い青。ひと昔前の文房具みたい。曇天下の石畳の街には似合いそうだが、東洋の島国ではどうだろう。
そんな不満は、運転席に座ったとたん、霧散した。「そうそう、ルーテシアのシートって、こうだったよね」と、以前、社用車として使われていた初代ルーテシアを懐かしく思い出す。見た目、インターナショナルに(!?)スポーティーなシートだが、思いのほかやんわりとした座り心地。だいぶ薄まったとはいえ、「椅子が上等」というルノーの伝統を引き継いでくれたらしい。うれしい驚き。シートポジションとミラーを合わせると、そそくさと走り始めた。