気になる「3車の性能調整」

ところで、DTM側が基本をとりまとめた2014年レギュレーションでは、「エンジンをフロントに配置するFR方式」と定められているが、次期型「NSX」はミドシップレイアウト(MR)が採用される。これについては日本独自のルールとして参戦が認められることになったが、それでもモノコックに関してはFRを前提に開発された共通部品を用いることになっている。FR用モノコックをMRに変更するには多くの困難が伴うはずだが、それでもホンダは、今回のデモ走行までに新型車を用意してみせた。

ここで問題になるのが、MRに対する性能調整だ。2009年まで参戦していた先代の「ホンダNSX」は、FR方式を採用する「レクサスSC430」や「日産GT-R」よりも性能面でアドバンテージがあるとして、パフォーマンスを抑える独自の規定が設けられていた。では、次期型「NSX」もMRを理由に、同じ“足かせ”がされるのだろうか?

ホンダでGTプロジェクトリーダーを務める松本雅彦氏は、「本来MRの特性を引き出すにはMRに適したモノコックが必要ですが、FR用の共通モノコックを使いMRマシンを設計するのは容易ではなく、無理があるといっても過言ではありません。パッケージングと重量配分を考慮したレイアウトにはとても苦労しました」と語る。
つまり、MRとしたことのアドバンテージはなく、むしろFRより性能的に劣っているとさえ捉えているのだ。原理的には運動性能を上げるのに有利とされるMRだが、モノコックがFR用では、MRのよさを引き出すことはできず、むしろ不利になってしまうというのである。

「NSX」についてはさらに、量産モデルを意識したハイブリッドシステムの搭載が明言されている(ハイブリッドの形式そのものは量産型とは異なる)。これもまた、「LF-CC」や「GT-R」との間で性能調整を図らなければならない要因のひとつとなるだろう。いずれにせよ、2014年モデルの性能調整については、今後を見据えてじっくり取り組んでいくという姿勢をGTAは示している。つまり、MRだからといって「NSX」に対する拙速な性能調整は行わないというのだ。

今季のGT300クラスでは国産ハイブリッド車がヨーロッパ製GT3車両を蹴散らす活躍を見せているが、あれも性能調整が作り出した「いびつな構造」といえないこともない。同様のことが2014年からのGT500クラスで起きないよう、公正で客観的な性能調整が実施されることを強く望みたい。

(文=小林祐介/写真=トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業)

デモランを行う「日産GT-R ニスモGT500」。
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レクサスのベースとされるのは、コンセプトカー。ただ、将来の量産化も示唆されている。
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「ホンダNSX CONCEPT-GT」
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FRの共通モノコックをベースに、MRに仕立てられたホンダのマシン。2015年に量産される新型「NSX」のイメージに対する、こだわりゆえとのこと。
FRの共通モノコックをベースに、MRに仕立てられたホンダのマシン。2015年に量産される新型「NSX」のイメージに対する、こだわりゆえとのこと。 拡大

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