レースで活躍した「ハドソン」

ニールをモデルとしたディーン・モリアティを、ギャレット・ヘドランド、サルをサム・ライリーが演じている。1回目の旅は、ヒッチハイクだ。デンバーにいたディーンを訪ね、サンフランシスコ、ロサンゼルスまで足を伸ばす。クルマでの旅が始まるのは、翌年になってからだ。ディーンがハドソンに乗って東部までやってきたのだ。

小説では49年型ハドソンと書いてあって、映画でも49年の「ハドソン・コモドール」が使われている。ということは、ピカピカの新車だ。小説の中に前席に4人並んで座ったという描写が出てくるから、かなりの大型だ。定職についていないディーンにとっては、あきらかにぜいたくすぎるクルマである。結婚して娘も生まれ、ようやくまっとうな暮らしが始まろうとしていたのに、衝動的に貯金をはたいて買ってしまったのだ。

ハドソンという自動車会社は現在は消滅してしまったが、戦前には日本に輸入されていたこともあるらしい。アニメ映画の『カーズ』に「ドック・ハドソン」というキャラクターが登場していて、伝説のレーシングカーということになっていた。これは、1951年型の「ハドソン・ホーネット」がモデルになっている。レースでの栄光を背景に、当時は“速いクルマ”というイメージがあったのだ。

ディーンは運転の名手であり、スピード狂である。無理な追い越しをかけたりして荒い運転を繰り返した結果、すでにエンジンのベアリングが壊れていた。刹那的な生き方は、運転にも表れるのだ。

「ハドソン・コモドール」
ハドソン社は1909年に設立された自動車製造会社。1920年代にはアメリカ第3位の規模を誇っていたが、1954年に合併によりAMCとなった。コモドールはフルサイズの乗用車で、映画に登場するのは3代目モデル。自動車会社に採用された初の女性デザイナーであるベティ・サッチャーによって設計されている。
「ハドソン・コモドール」
    ハドソン社は1909年に設立された自動車製造会社。1920年代にはアメリカ第3位の規模を誇っていたが、1954年に合併によりAMCとなった。コモドールはフルサイズの乗用車で、映画に登場するのは3代目モデル。自動車会社に採用された初の女性デザイナーであるベティ・サッチャーによって設計されている。     拡大

第58回:ケルアックの代表作が初の映画化!『オン・ザ・ロード』の画像 拡大

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鈴木 真人

鈴木 真人

名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。

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