「iPhone5c」復権の鍵は「ダイハツ・コペン」?

ところで、新・流行色とされるオレンジ&レッドは、実際のところイタリアでどうなのか? 路上でトレンドをリードしているのはルノー系である。
数年前、その先鞭(せんべん)をつけたのは、同社のローコストブランド、ダチアのミニクロスオーバー「サンデロ ステップウェイ」だった。低価格でありながら、「ミニクロスオーバー」のムードをしっかりと備えていたことが受け、イメージカラーであるレッドが普及した。その流れを新型「ルノー・メガーヌ」や「クリオ」(日本名:ルーテシア)が引き継いだ。

ちなみに、もちろん流行カラー効果だけが理由ではないだろうが、2013年のイタリア国内新車登録台数が、全体では前年比-7.1%だったのに対し、ダチア・サンデロは67.4%増、ルノー・クリオは37.5%増と、いずれも好結果を残した。
太陽光が強く、路上駐車しておくと退色しやすい赤が、今後どのくらい普及するかは未知数だが、取りあえずレッド復権の兆しは確実だ。

冒頭のBASFのチョルニー氏によると、自動車のボディーカラーは、しばしば世相を反映する。例えば、9・11以降アメリカ人は、白い色がもつ純粋なイメージに「再生」を感じ、白を基調としたアップル製品(ホワイトのiPhoneやiPadを指すと思われる)がそれを後押ししたと分析する。
彼は2013年に起きた事件から、近未来のカラートレンドも予測している。事件とは、元CIA職員エドワード・スノーデンによる通信傍受暴露事件だ。プライバシーの安全に不安を抱いた人々によって、「信頼」を感じさせるブルーやグリーンが好まれるようになるのでは、とみている。

ふと思いだしたのは、2013年9月に発売されたiPhone5cの行方だ。新聞によると、世界的に販売が予想を下回り、早くも減産が行われているという。その機能や価格設定など、複数要素があるのは承知だが、カラフルなボディーを「クールさ・高級感が足りない」と見る向きは少なくない。
いっときはクルマにまで影響を与えたアップル製品の色だが、今回はクルマに本格的影響を確認できる前に、疑問が投げかけられてしまった。これからもアップル製品の色がクルマに波及効果をおよぼすならば、同社が次にどのようなボディーカラー戦略を打ち出すのか興味深い。
逆に、2013年東京モーターショーにおいて着せ替えボディーパネルで話題をよんだ「ダイハツ・コペン」の市販バージョンがヒットし、それに引きずられて日本でiPhone5C人気に火がついたら、これまた痛快だが。

(文=大矢アキオ<Akio Loenzo OYA>/写真=Akio Lorenzo OYA, KIA)

レッドカラー普及の先駆けとなった一台。2009年欧州に投入された初代「ダチア・サンデロ ステップウェイ」。2012年5月撮影。
レッドカラー普及の先駆けとなった一台。2009年欧州に投入された初代「ダチア・サンデロ ステップウェイ」。2012年5月撮影。 拡大
ルノーブランドのレッド戦略のスタートであり、コンセプトカーにおける現在のカラー傾向のはじまりは、2010年パリショーで公開された「デジール」だった。写真は2013年東京モーターショー。
ルノーブランドのレッド戦略のスタートであり、コンセプトカーにおける現在のカラー傾向のはじまりは、2010年パリショーで公開された「デジール」だった。写真は2013年東京モーターショー。 拡大
イタリアの路上で近頃、最も目を引く新型車といえば、カタログカラーの赤をまとった新型「ルノー・クリオ」(日本名:ルーテシア)。フィレンツェのショッピングセンターで、2014年1月撮影。
イタリアの路上で近頃、最も目を引く新型車といえば、カタログカラーの赤をまとった新型「ルノー・クリオ」(日本名:ルーテシア)。フィレンツェのショッピングセンターで、2014年1月撮影。 拡大
「フォルクスワーゲン・ポロ」と「スズキ・スイフト」そして「ルノー・トゥインゴ」によるレッド揃い踏み! 2014年1月撮影。
「フォルクスワーゲン・ポロ」と「スズキ・スイフト」そして「ルノー・トゥインゴ」によるレッド揃い踏み! 2014年1月撮影。 拡大

7代目「ダイハツ・ハイゼット」の姉妹車として誕生し、今日まで生き延びている「ピアジオ・ポーター」まで、最新のカタログカラーはオレンジである。2014年1月撮影。


	7代目「ダイハツ・ハイゼット」の姉妹車として誕生し、今日まで生き延びている「ピアジオ・ポーター」まで、最新のカタログカラーはオレンジである。2014年1月撮影。
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フィアットディーラーにて。元CIA職員エドワード・スノーデン氏の影響で、次はブルー系?
フィアットディーラーにて。元CIA職員エドワード・スノーデン氏の影響で、次はブルー系? 拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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