これがイタリア式セルフスタンドだ!

夏休みにイタリアでレンタカーのドライブを楽しむ方も多いと思うので、今回は、この国のガソリンスタンド指南を少々。

まず、大きなスタンドでは、Self(セルフ)とServito(セルヴィート)に分かれていることが多い。前者は文字通り自分で、後者は店員が給油するタイプだ。ポンプに入力されている料金も、後者が微妙に高くなっているのが一般的である。
ただし、給油所のおじさんが暇だったり、お客がモタモタしていると、セルフコーナーでも給油してくれたりする。満タン希望の場合は、「Pieno(ピエーノ)」と言えばよい。

イタリアのセルフには、基本的に2種類のお作法がある。最もよくあるものはセミセルフというべき方式だ。

(1)自分で給油する。レギュラーガソリンは、「Senza piombo(無鉛)」と記してあるものだ。ちなみに、そう書かれていても、すでにイタリアでは有鉛は販売されていない。軽油は「Diesel」のほか、イタリア語でガソリンと紛らわしい「Gasolio」と書いてあることもあるから要注意だ。給油ノズルは日本のものと比べて、少々大きくゴツい。石油臭が気になる人は、近くにある使い捨てビニール手袋を使うとよい。
(2)給油を終えたら、クルマのドアをロックし、その場所に置いたまま歩いてレジに向かう。
(3)給油機の番号を告げる。おじさんのレジにはすでに給油量のデータが伝送されているので、現金かクレジットカードで支払う。

ここまで読んだ方は気づくと思うが、この方式だと「ガソリン入れ逃げ」が発生する危険性がある。実際ボクも目撃したことがある。その給油所のあるじは老夫妻だっただけに、さらに腹がたった。読者諸兄が「入れ逃げ」と勘違いされないためにも、たとえ後続車のドライバーがイライラしていても、よほど常連でない限り、給油後はクルマを移動させないのが鉄則だ。

そして完全セルフ式は、セミセルフよりも価格がさらに安く設定してあったりする。ただし、カード読み取り機は、クレジットカードがダメで欧州地域のデビットカード「バンコマット」だけ受け付け可能だったり、お札の挿入口も神経質でなかなか読み込んでくれなかったりする。
日本のセルフ給油機のような明快なディスプレイ表示はなく、10ユーロ、20ユーロ、30ユーロなどのほか、満タンを選ぶための武骨なボタンが並んでいるだけだ。

イタリア人だって、見知らぬ土地の慣れないセルフ機でモタモタしているのだから、旅行者にはかなりハードルが高い。
こういうときは、おとなしく店員が給油してくれる「Servito」のほうにクルマを移す。困っているムードをオーバーアクションで表現し、給油所のおじさんの気をひく“かまってちゃん”方式をおすすめする。
セミセルフ方式をとるスタンドも、平日の昼休み2時間ほど、また土曜午後や日曜祝日は、すべて完全セルフに切り替わってしまう。アウトストラーダ(高速道路)の給油所は大抵高い。苦労したくない人は、平日の普通の時間に、おじさんに入れてもらうほうがよい。

シェルの給油所網を引き継ぐことになったクゥェート石油「Q8」の看板。
シェルの給油所網を引き継ぐことになったクゥェート石油「Q8」の看板。 拡大
シエナにあった「Agip」のスタンド。2005年撮影。
シエナにあった「Agip」のスタンド。2005年撮影。 拡大
その「Agip」は、その後「ICM」という無印系スタンドに変わった。2008年、改装中に撮影。
その「Agip」は、その後「ICM」という無印系スタンドに変わった。2008年、改装中に撮影。 拡大
イタリアの無印スタンド。これは「TE(テ)」という店。
イタリアの無印スタンド。これは「TE(テ)」という店。 拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒にして、二玄社『SUPER CG』元編集記者、そしてイタリア在住21年と脈絡なき人生を歩んできたものの、おかげで妙に顔が広い。今日、日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして執筆活動に携わると共に、NHKラジオフランス語テキストでも活躍中。10年以上にわたるNHK『ラジオ深夜便』レギュラーリポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも奮闘している。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『カンティーナを巡る冒険旅行』『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(ともに光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)など数々の著書・訳書あり。

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