パルクールを使った神がかり的アクション

トレメインはリノを捕らえようと、刺客を差し向ける。麻薬ビジネスの邪魔をされ、怒りに燃えていたのだ。マシンガンで武装した一団が急襲するが、リノは驚異的な身体能力で撃破していく。ほとんど反撃はせず、ひたすら逃げ続ける。天窓をすり抜けてはしごを駆け上り、塀を飛び越して壁を走る。屋上に上ると跳躍して別のビルに飛び移り、追っ手を置いてけぼりにする。追いすがろうとする者もいるが、野生動物のような動きにはとてもついていけない。

これは、フランスで創始された運動メソッドのパルクールを使ったアクションだ。ベルはパルクールの共同創始者で、動きにキレがあるのは当然だ。彼の神がかった身体能力が、この作品の前提なのである。“ゼロGアクション”というキャッチコピーは、決して誇大ではない。

ダミアンは大物麻薬売人の手下となって潜入し、工場のありかを突き止める。秘密の入り口がコインランドリーで、『ナポレオン・ソロ』並みのレトロなB級感がうれしい。悪党が逃走する「クライスラー300C」に飛び乗り、ハンドルを奪って彼を警察に送り届けるカーアクションが、バカバカしくも爽快だ。

一仕事終えたダミアンだが、市長に呼び出されて新たなミッションを与えられる。トレメインが盗んだ中性子爆弾が10時間後に爆発するというのだ。ブリックマンションに潜入し、爆弾の時限装置を解除するように命じられた。相棒として指名されたのが、リノである。彼はトレメインを捕獲して検問所の警官に引き渡したが、裏でつながっていた彼らによって投獄されていた。

気の合わないダミアンとリノだったが、一時的に共闘してトレメインを倒すことにする。リノは拉致された元彼女ローラ(カタリーナ・ドゥニ)を取り戻すのが目的で、ダミアンは爆弾の奪還を目指す。武器は、おのれの身体である。

鈴木 真人

鈴木 真人

名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。

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