カー用品店で見た風景

おっと、前置きはこのくらいにして、クルマの話をしよう。
滞在中、東京郊外にある女房の実家に赴いた際、近所にあるチェーン系カー用品店をのぞいてみた。驚いたのは、車種限定で販売されているグッズが多いことだ。その横綱は「トヨタ・プリウス専用」「トヨタ・アクア専用」「ホンダ・フィット専用」と銘打ったものである。まさに路上の風景を反映しているではないか。

イタリアでもディスカウント店のシートカバーコーナーでは、歴代や現行の「フィアット・パンダ用」「フィアット・プント用」「ルノー・トゥインゴ用」といった定番はあるにはある。だが、昨今日本のカーグッズは、より車種特化傾向があるとみた。

今年ヨーロッパはベルリンの壁崩壊25年を祝ったが、かつて旧東ドイツにおいて一般国民が買える国産車といえば「トラバント」か、もしくは少し高級な「ヴァルトブルク」しか選択肢がなかった。それからすれば今の日本は、比べものにならないくらい多彩なクルマがそろっている。ハイブリッド車ひとつとっても、たくさんの車種が存在する。にもかかわらず、多くの人々は、わずか数タイプのクルマに選択肢を絞ってしまっている。

ハードウエアの優秀性が評価されている証左か、秀逸なマーケティングの成果か、はたまた日本国民がクルマ選択能力を失いつつあるのか。未来に答えはわかるだろう。

芝浦ヤナセ本社の隣では、同社の元所有地にマンションの建設が続けられている。毎日夕涼みがてらにショールーム詣でできる、エンスージアスト垂ぜんの物件か?
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昭和の残像1。風力を頼りにしたクルクル回る看板。田町にて。
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昭和の残像2。「親指シフトキーボード」を含む富士通専門店。表参道で。
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この証明写真機のグラフィック、「美肌+」のプラスのことだろうが、十字架=ざんげ室と勘違いする外国人がいるのでは? と考えるのは、心配性なボクだけか。東京駅にて。
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大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。20年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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