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第2回:どこが変わった? 2015の「T4 SE」

人にやさしいクルマ 2014.12.29 ボルボV40の“いま”を知る 国沢 光宏 ボルボV40 T4 SE(FF/6AT)

2013年のデビュー以来、好調なセールスが伝えられる「ボルボV40」。最新2015年モデルには、さらなる商品力強化のためのリファインが施されたという。その変化のほどを、仕様変更前の「V40 T4」オーナーである自動車評論家 国沢光宏がチェックした。

スポーツモデルのような“足”

ボルボ最大級のヒット車となったV40の大きな課題は、“乗り心地”だった。私が初めてV40に乗ったときも、「なんだ!?」と驚いた。それは、動き出すや「道路のデコボコを全て拾っているのではないか?」と思えるほどのものだった。
しかし、サスペンションの状況をみると、これがキッチリ動いている。何のことはない、スポーツモデルと同じくらい、サスペンションに強い減衰力を持たせているのだった。

それは、他のメーカーなら「GTI」や「RS」といったグレード名を付けてしまうくらいのレベル。ワインディングロードをハイスピードで走ってちょうどいいくらいの、本格的なものだ。

それを除けば、V40は理想的なクルマと言えた。例えば安全性。雪の多いスウェーデンはスリップ事故が起こりやすい。しかも交通量の少ない郊外ともなれば、少しでも救急搬送が遅れると凍死してしまう……ということなんだろう。ボルボ車を見ると、1)事故は起こらないようにする。 2)万が一クラッシュした場合は高い安全性でカバーする。という強い意志が感じられます。
その点、V40も驚くばかり! 事故につながるような状況を徹底的に想定し、そいつを防止できるように作られている。

デビュー当初から、搭載されていた安全装備の数は10余り。論議の余地なく、コンパクトカーのカテゴリーでは、安全に対して最も気合入ってます。

現行型の「ボルボV40」が日本で発売されたのは、2013年2月のこと。
現行型の「ボルボV40」が日本で発売されたのは、2013年2月のこと。
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「エスプレッソ&ブレンド」のカラーリングで仕立てられた、テスト車のインテリア。中央の「モダンウッドパネル」は2万1000円のオプション。
「エスプレッソ&ブレンド」のカラーリングで仕立てられた、テスト車のインテリア。中央の「モダンウッドパネル」は2万1000円のオプション。
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センターコンソールの液晶モニターでは、カーナビのほか、各種インフォテインメント情報やオーナーズマニュアルが確認できる。(画像をクリックすると画面の表示バリエーションが見られます)
センターコンソールの液晶モニターでは、カーナビのほか、各種インフォテインメント情報やオーナーズマニュアルが確認できる。(画像をクリックすると画面の表示バリエーションが見られます)
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国沢光宏(くにさわ みつひろ)
1958年生まれ。自動車専門誌の編集職を経て、自動車評論の仕事に携わる。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。趣味はクルマとスキー。
国沢光宏(くにさわ みつひろ)
    1958年生まれ。自動車専門誌の編集職を経て、自動車評論の仕事に携わる。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。趣味はクルマとスキー。
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ボルボ V40 の中古車

走りだしから「全く違う」

そんなことから、筆者はV40を買ったのだけれど、毎日ハンドルを握ってみたら、やはり乗り心地が気になる。ついには、サスペンションに手を加えてしまったほどだ。

聞けば、V40オーナーが集うサイトでも足の硬さは大きな話題になっているのだとか。ボルボ・カー・ジャパンにも、こういった声は多数届いていたに違いない。
あらためて日本仕様のV40のサスペンションスペックをチェックしてみたところ、走行性能を重視した「ダイナミック・シャシー」だったのだ。

そこで2015年モデルからは、快適性重視の「ツーリング・シャシー」に切り替えたとのこと。長い前置きになってしまったが、その2015年モデルの試乗でございます。

Dレンジをセレクトしてアクセルを踏むと、走りだした直後から「全く違いますね!」
V40の弱点だった「道路の凸凹を探す装置」のような乗り心地がほぼ解消された。このクラスのライバルと比べても負けず劣らずで、「フォルクスワーゲン・ゴルフ」や「アウディA3スポーツバック」、「BMW 1シリーズ」あたりといい勝負。路面の起伏にあわせて、サスペンションがよりスムーズにストロークするようになった。2015年仕様の乗り心地なら、誰もが「いいね!」と思えることだろう。


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オプション「レザー・パッケージ」を選択したテスト車の本革シート。助手席には、8ウェイの電動調節機構も備わる。
オプション「レザー・パッケージ」を選択したテスト車の本革シート。助手席には、8ウェイの電動調節機構も備わる。
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液晶表示を多用する計器盤が、各種インフォメーションをドライバーに伝える。テーマカラーの変更も可能だ。(画像をクリックすると表示バリエーションが見られます)
液晶表示を多用する計器盤が、各種インフォメーションをドライバーに伝える。テーマカラーの変更も可能だ。(画像をクリックすると表示バリエーションが見られます)
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2015年モデルの「V40 T4 SE」には、従来のクロームトリムに代えて、バンパー両端にLEDドライビングライトが与えられる。
2015年モデルの「V40 T4 SE」には、従来のクロームトリムに代えて、バンパー両端にLEDドライビングライトが与えられる。
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取り回し性もよくなった

さらに、ホイールにも変化がある。今までは、17インチホイール装着車ではステアリングの切れ角が少なくなり、最小回転半径は16インチホイール装着時の5.2mから5.7mになることを余儀なくされていた。しかし、2015年モデルからは、あらかじめ17インチホイールのリム幅が変更されており、16インチホイールと同じ回転半径になっている。

リム幅をナローにすると、取り回し性が改善されるだけでなく、乗り心地も良くなる傾向にある。2014年モデルまでの前期型V40に乗っている人が、2015年モデルのハンドルを握ったなら、みなさん驚くと思う。それくらい明確に、乗り心地は良くなっている。
ちなみにコーナリング性能は、サーキットを攻めるのでもない限り不満なし。これまでも感じられた「ステアリングを切るほどに素直に曲がっていく」というスポーティーなフィールは、V40の大きな魅力であり、それはこの最新型でもほとんど変わっていない。

参考までに記しておくと、V40のエンジンは180psの1.6リッターターボである。ライバルメーカーならばスポーツグレードに搭載しているような、リッター100psを超えるパワフルなスペックだ。
したがって十分に速いわけだけれど、「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」を選んで純正ロムチューンを施してもらうと、さらに20psアップの200psになってしまう(私のV40はポールスター仕様です)。つまり、2015年モデルのツーリング・シャシーも、200psなら余裕でこなすくらいの余力を持っている。「フニャフニャのダンナ仕様になったわけではない」という点を、付け足しておきたい。

17インチアルミホイールのリム幅は、7.5Jから7.0Jに変更。これにより、従来よりも最小回転半径は小さくなった。
17インチアルミホイールのリム幅は、7.5Jから7.0Jに変更。これにより、従来よりも最小回転半径は小さくなった。
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180psと24.5kgmを発生する1.6リッター直4ターボエンジン。ピックアップのよさと優れた燃費性能の両立が図られている。
180psと24.5kgmを発生する1.6リッター直4ターボエンジン。ピックアップのよさと優れた燃費性能の両立が図られている。
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ラゲッジスペースは、後席や助手席を前方に倒すことで容量を拡大できる。折りたたみ式のフロアボードも、さまざまな荷物の積載に役立つ。(画像をクリックするとシートやフロアボードのアレンジが見られます)
ラゲッジスペースは、後席や助手席を前方に倒すことで容量を拡大できる。折りたたみ式のフロアボードも、さまざまな荷物の積載に役立つ。(画像をクリックするとシートやフロアボードのアレンジが見られます)
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十分にリーズナブル

さらに一つ。最近ボルボは「IntelliSafe10(インテリセーフ・テン)」というアピールを始めた。日本で販売する全てのボルボ車に、先行車両だけでなく自転車や歩行者も認識できる、衝突事故回避のための自動ブレーキシステムや、斜め後方のブラインドスポット警報、全車速追従機能付きのアダプティブ・クルーズ・コントロールなどを標準装備するというものだ。
ボルボにとってのエントリーモデルであるV40も例外でなく、2014年モデルでは標準装備されていなかったリアビューカメラまで追加されている。6万2000円のオプションである歩行者用エアバッグも付ければ、理想的な「人にやさしいクルマ」になると思う。
エクステリアについては、LEDドライビングライトが追加された程度でほとんど変わっていないものの、V40のデザインは飽きがこない。依然としてスタイリッシュだと思う。

価格は、今回試乗したT4 SEというグレードで、2014年モデル比27万円高の365万円。こう書くと大幅な値上げだと思うかもしれないが、装備表によると、20万円のオプションだったナビが標準装備となっている。
加えてITSスポット対応のETC車載器や、前述のリアビューカメラも追加されているため、実質的な値上がり分は3~4万円というイメージか。昨今の円安ユーロ高から考えれば、頑張ったかもしれません。以上。Cセグメントのクルマを考えているなら、V40もショッピングリストに載せてみてはいかがだろう。

(文=国沢光宏/写真=田村 弥) 

→「ボルボV40」のオフィシャルサイトはこちら


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後席は3人掛け。中央席の座面には収納式のカップホルダーが備わる。
後席は3人掛け。中央席の座面には収納式のカップホルダーが備わる。
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リアビューカメラの表示画面。2015年モデルでは標準装備となった。
リアビューカメラの表示画面。2015年モデルでは標準装備となった。
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テスト車のデータ

ボルボV40 T4 SE

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4370×1800×1440mm
ホイールベース:2645mm
車重:1440kg
駆動方式:FF
エンジン:1.6リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:180ps(132kW)/5700rpm
最大トルク:24.5kgm(240Nm)/1600-5000rpm
タイヤ:(前)205/50R17 93W/(後)205/50R17 93W(ピレリ・チントゥラートP7)
燃費:16.2km/リッター(JC08モード)
価格:365万円

ボルボV40 T4 SE
ボルボV40 T4 SE
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ダッシュボードの上に見えるのは「プレミアムサウンド・オーディオシステム」のスピーカー。harman/kardon製。
ダッシュボードの上に見えるのは「プレミアムサウンド・オーディオシステム」のスピーカー。harman/kardon製。
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テスト車は、オプションの「パノラマガラスルーフ」(19万円)を装備していた。
テスト車は、オプションの「パノラマガラスルーフ」(19万円)を装備していた。
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センターコンソール下部には、各種安全装備のスイッチが並ぶ。
センターコンソール下部には、各種安全装備のスイッチが並ぶ。
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