最後は法廷ドラマ

プール付きの豪邸での暮らしを捨て、マーガレットは再び娘と一緒にクルマで逃げ出す。今度こそ本当に自由を手に入れられると確信し、後席に座る成長した娘の手を握った。しかし、ウォルターは生来のイカサマ野郎なのだ。せっかく手に入れた名声と富を簡単に手放すはずがない。

アートと創作をめぐる物語は、終盤には一転して法廷ドラマとなる。弁舌が飛び交う司法の場は、ウォルターにとっては晴れ舞台だ。弁護士など雇わず、自ら身の潔白を証明しようと奮闘する。クリストフ・ヴァルツは、水を得た魚のようだ。『リーガル・ハイ』の古美門研介もかくやとばかりに華麗な弁論を展開し、自分に同情を集めようと秘術の限りを尽くす。

もちろん、いくら言葉でごまかそうとしても、隠し仰せない真実がある。マーガレットは余裕の笑みで娘の手を握った。クルマで脱出しても何も得られなかったが、自らが変わることで人生を取り戻すことができたのだ。

87歳になる今も絵を描き続けているマーガレットは、「彼がいなかったら、私の作品は誰にも発見してもらえなかったはず」と語っている。新垣氏は、年末年始のテレビ番組で引っ張りだこだった。クラシックから歌謡曲までなんでも語れる音楽オタクで、誠実な人柄と天然のおちゃめさが愛されている。彼こそが、佐村河内氏が生み出した唯一の作品なのだ。

(文=鈴木真人)

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「フォード・カスタムライン」
「カスタムライン」はフォードのミッドレンジモデルで、「クレストライン」と「メインライン」の中間に位置する。2ドアと4ドアがあり、セダン、ワゴン、クーペの3つのモデルが作られた。映画に登場するのは第1世代で、1952年から1954年まで製造された。
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『ビッグ・アイズ』
2015年1月23日(金)TOHOシネマズ 有楽座他 全国順次ロードショー
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    2015年1月23日(金)TOHOシネマズ 有楽座他 全国順次ロードショー 拡大
鈴木 真人

鈴木 真人

名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。

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