日本で最も国際的なのは?

話はかわるが先日、郊外にある女房の実家で爪を切ろうと思って、束ねてあった古新聞から広告チラシを抜き出したときだ。たちまち地元販売店による「日産リーフ」の試乗会、「三菱i-MiEV」を扱う家電量販店のチラシが出てきた。
それらが墓石や歯科医院開業の宣伝と一緒に入ってくるなんて。イタリアやフランスでは、まだまだ夢のような話である(そもそもイタリアには折り込みチラシがない)。
漫画『銀河鉄道999』だったと思うが、ある高度に技術が進んだ星に主人公が降り立つと、道端の子供が小遣い欲しさに「核兵器なら何十円で作るよ」ともちかけてくる場面がある。外人さんにとって、電気自動車のチラシが入ってくる日本は、まさにそんな星に降り立ったような感覚であろう。
モーターショー会場でなくても、見方によっては十分に未来がある。国内におられる方はお気付きにならないと思うが、それが今の日本であることもたしかだ……なんて書くと、これまた「海外のショーなんか見なくていいや」という若者が増えるかもしれないのが怖い。

少々複雑な気分になったボクは、話題の新大久保「韓流タウン」に足を向けた。イタリアで高価なのと店が少ないため食べる機会がないコリアン料理がお目当てだ。
料理店に至るまで並ぶ芸能人グッズ店やコリアン食品店は、どこも女性客であふれかえっていた。音大出身ゆえ、かなり女子がいても慌てず、「プランタン銀座」にも平気で入れるボクであるが、その韓流女性ファンの多さには度肝を抜かれた。それも「冬ソナ」放映時代からすると、明らかに低年齢化している。
彼女たちは、店頭に貼られたポスターを指さしながら、ボクだったら到底記憶不可能な韓流スターの名前を次々に言い当てている。それを見ていたボクは、「この国で最も国際的なのは、東京モーターショーでもそれに訪れる男子でもなく、実は日本女子なのではないか?」と思ってしまったのであった。

(文と写真=大矢アキオ、Akio Lorenzo OYA)

新大久保「韓流タウン」にて。

新大久保「韓流タウン」にて。 拡大
有楽町で。現代の「世界が舞台の男たち」は免許を持ってない場合もあると解釈してよいのか?
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大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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