超アナログな人力カーナビで逃走

エバとデレクの夫婦を除くと、出演者の顔が異常に濃い。エバを鍛える父親はスティーヴン・ラングで、実戦さながらの厳しさで教える時の迫力は恐ろしいほどだ。『アバター』で傭兵(ようへい)を率いていた顔の怖い人である。怪しげな警官ラモンを演じるのは、ルイス・ガスマン。シュワちゃんの『ラストスタンド』では正義感のある副保安官だったけど、犯罪者役も多くこなしている。顔役のビッグ・ビズは、ダニー・トレホだ。岩石顔では右に出るものがいない無敵の男である。私生活でも何度となく刑務所に入っている本物だから、リアリティーありすぎだ。

エバはデレクの居場所を必死で探るが、誰もが口を閉ざしている。コワモテの男たち相手では、非常手段を使わざるを得ない。かなり乱暴な方法で真相を聞き出そうとするのだ。おなかに針を突き刺して、内臓をひとつひとつ傷つけていくというサディスティックな拷問も披露する。抵抗する者には無慈悲な死が与えられる。ジーナ・カラーノは「世界でもっとも美しい顔100人」で48位に入ったことのある美女なのだが、映画では結構簡単に人を殺す。

撮影はプエルトリコで行われていて、街にはアメリカ車以上に日本車が多く走っていた。「ホンダ・アコード」や「日産セントラ」はもちろんのこと、「ランサー」「ミラージュ」「ギャラン」と三菱車が多い。「ホンダ・オデッセイ」もいたけれど、おそらく中古車が流通しているのだろう。

エバは敵の「フォード・エクスペディション」を奪って逃走を試みる。しかし、彼女には土地カンがない。道を熟知している地元のギャングにかなうはずがないのだ。カーナビなどついていないから、目的地への経路がわからない。それを解決したのが人力カーナビである。携帯電話のSMSを利用して、超アナログな道案内が行われる。

強い女性が主人公の作品は多いが、この映画は本職がやっているだけに格闘シーンにすごみがあった。日本でも、女性格闘家を使って本格的なアクション映画が作れるはずだ。赤井沙希や安川惡斗(やすかわ あくと)が活躍するすごい映画を誰か作ってくれないものか。

(文=鈴木真人)

「フォード・エクスペディション」
1997年に「ブロンコ」に代わって発売された大型SUV。2003年に2代目となっている。日本では正規輸入されていない。
「フォード・エクスペディション」
    1997年に「ブロンコ」に代わって発売された大型SUV。2003年に2代目となっている。日本では正規輸入されていない。 拡大
(C)2013 ITB Productions, Inc. All Rights Reserved.
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『ブライド・ウエポン』
2015年3月28日(土) ヒューマントラストシネマ渋谷、ほか全国にてロードショー
配給:ポニーキャニオン
『ブライド・ウエポン』
    2015年3月28日(土) ヒューマントラストシネマ渋谷、ほか全国にてロードショー
    配給:ポニーキャニオン
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鈴木 真人

鈴木 真人

名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。

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