使用開始まで、ひと山ふた山

かわって先月のこと、羽田空港に降り立ったら、直結の京浜急行の駅で「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」ののぼりが出ていた。ベーシックアカウントでも国内6万カ所において無料でつながるという。これはいいぞ、ということで、早速キャンペーン要員のお兄さんの説明に従い、自分のiPhoneに空港の無料Wi-Fi経由で専用アプリをダウンロードしてみた。しかし利用できない。理由は即座に判明した。ボクのApp Storeの国設定が「日本」になっているためだった。海外の設定にすればよいのだそうだが、それも面倒である。単にシステム的理由にもかかわらず、「いったいボクはナニ人なんだ?」という、飛躍した不安に駆られてしまった。

幸か不幸か、今回は前述のWi-Fiルーターも予約していなかった。そこで初めて、冒頭の短期滞在者向けプリペイドSIMカードを購入してみることにした。
空港ターミナルでも売っているが「1カ月1GBで税込み4500円」と割高である。そこで空港からその足で、都内の家電量販店に赴いてみた。すると「1カ月3GBで税込み3980円」という商品があった。ところがボクのiPhone用規格であるナノSIM仕様は売り切れ。翌日、別の量販店でようやくそれを見つけた。1カ月2GBで税込み3590円だった。

ところが、次なる試練が待ち構えていた。どのコーナーに行ってもSIMトレイを開けるピン(ダイソンの扇風機のような形をしたやつ)を貸してくれないのだ。アップルのコーナーに行っても「ここは販売のみですから」という、すげない返事。ようやく数人目で「自己責任でお願いします」という冷たい言葉とともに貸してくれた。
こんな風に言われてしまうと「よっしゃ、いっちょ貸してみろ。俺がやってやる」と、責任の所在不明ながら、何でも引き受けてくれるイタリアの店が懐かしくなった。

次なる試練は、アクティベートするのに必要な専用アプリのダウンロードだった。店内のどのコーナーに行っても客用のWi-Fiがない。まあ、やってくる顧客に次々つながれては切りがないから仕方がないのだろうが、「スターバックスとかでつないでください」とぶっきらぼうに言われたときは、再び心の中で「東京砂漠」が響いた。
結局ホテルに電車で戻って、客室内Wi-Fiに接続してアプリをダウンロードし、SIMをアクティベートした。日頃はイタリアで使っているモバイルWi-Fiルーターは3G仕様のため、「LTE」の文字がディスプレイ上に出たときは、感激のあまり思わず「ウォーッ!」と独り雄たけびをあげてしまった。

参考までに、後日見つけたのだが、外国人観光客比率が多い六本木には、SIMカードを買えば店内のWi-Fiを使わせてもらえる(即開通できる)店があるので記しておこう。

家電量販店で購入した短期滞在者用のプリペイドSIMカード。この店のものに限らず「作動しなくても返品・交換は一切受け付けませんよ」といった旨の説明が記されている。海外版スマートフォンを使うボクのようなユーザーとしては、少なからず緊張する。
家電量販店で購入した短期滞在者用のプリペイドSIMカード。この店のものに限らず「作動しなくても返品・交換は一切受け付けませんよ」といった旨の説明が記されている。海外版スマートフォンを使うボクのようなユーザーとしては、少なからず緊張する。 拡大
日本で販売されている短期旅行者用のプリペイドSIMカードが使えるのは、基本的にiPhoneの場合「5」以降。女房はこれを機会に、4年近く愛用していた「3GS」を泣く泣く手放した。
日本で販売されている短期旅行者用のプリペイドSIMカードが使えるのは、基本的にiPhoneの場合「5」以降。女房はこれを機会に、4年近く愛用していた「3GS」を泣く泣く手放した。 拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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