第103回:アルファ・ロメオ4C(後編)
2015.06.05 水野和敏的視点まるで70年代初頭のスーパーカーのようだ!
まるで1960年代後半から70年代初頭にタイムスリップしたかのような、クラシカルなエクステリアとインテリアが特徴的な4Cですが、その中身には現在の技術がしっかりと詰め込まれており、まさに「21世紀のイタリアンミドシップ・コンパクトスポーツカー」を体現しています。エンジンは1750cc(正確には1742cc)の直4ダウンサイジングターボ(240ps、35.7kgm)で、これにデュアルクラッチ式の6段ATを組み合わせています。
ドアを開けて、一見すると職人が仕上げた感のあるカーボンファイバーが露出したサイドシルを跨(また)いで運転席へ。いざステアリングホイールを握って走りだすと、やはり一瞬にして70年代初頭にタイムスリップします! パワーアシストのないステアリングの操作感は古典的で重く、操舵(そうだ)時のクルマの動きや各ユニットの作動も、まるで当時のスポーツカーのようです。
そして加速を始めると、にわかにフロントが軽くなります。その軽さはもうフラフラと表現していいくらいです。続いてブレーキを踏み、車両がノーズダイブする(フロントが沈む)と、今度は途端にグッとステアリングが重くなります。加速時にはスクワットし(フロントが上がる)、制動時にはノーズダイブしているのがステアリングの操舵力の変化や車両の反応だけではっきりとわかるのです。外観に違(たが)わず、加減速時の挙動もとてもわかりやすく、古典的なのです。
コーナリングも同様です。現代のクルマは、スタビリティーを上げて限界付近のコントロール性をよくするために、ロールした時に外輪の踏ん張りだけでなく、内輪の接地によるグリップ力を確保すべく、ストロークをたっぷり取ったサスペンションセットを用います。
しかし、4Cはこれとは全く逆。サスペンションのストロークは少なく、外輪だけで踏ん張っていて、少し攻めるとあたかも内輪が浮いてしまっているかのような感じが拭えません。まるで本当に1970年代初頭のスーパーカーに乗っているようです。
こういった、じゃじゃ馬と格闘しているかのような4Cの挙動は、楽しいといえば楽しいし、疲れるかと聞かれればそのとおりです。この操縦感覚をどう受け止めるかは、もうオーナーであるドライバー次第でしょう。4Cのようなスポーツカーは、日常的に使うクルマを別に持っている人が購入するケースが多いでしょうから……。
スタイルと走りがここまでクラシカルに統一されると、もう「これはこれでいいでしょう……」と言うしかないと思います。
この記事は会員限定公開です。webCGプレミアムプラン会員に登録すると<月額550円(税込)>、続きを読むことができます。
登録初月無料! | クレジットカードで会員登録いただくと、ご契約いただいた日からその月の末日までが無料になります。いつでも解約可能です。 |
---|
- 毎月20本以上、新型車の試乗記が先取りで読める!
- 人気のさまざまな連載エッセイも、いち早く読める!
- 100車種超! 「谷口信輝の新車試乗」がぜんぶ読める!
- あの漫画家・池沢早人師の特集記事も堪能できる!
- 頭脳派レーシングドライバー山野哲也の車評が分かる!
- 『日刊!名車列伝』で世界の名車に毎日触れられる!
- 自動車メーカー関連グッズのプレゼントに応募できる!
- 話題のニューモデルのアツい走りが動画で見られる!
-
アルファ・ロメオ アルファGT クアドリフォリオ ドーロ(FF/5AT)【試乗記】 2010.10.5 試乗記 アルファ・ロメオ アルファGT クアドリフォリオ ドーロ(FF/5AT)
……385万円
アルファ・ロメオの「アルファGT」に限定車が登場。伝統のゴールド・エンブレムをいただくスポーティクーペは、さて、どんな走りを見せる……? -
-
アルファロメオ156GTA(6MT)【試乗記】 2002.7.17 試乗記 アルファロメオ156GTA(6MT)
……544.0万円
レースモデルに付けられた「GTA」の名を冠するアルファロメオ「156GTA」が登場! 3.2リッターV6を搭載、ジオメトリーも変更されたアシを持つスポーティセダンに、webCG記者が箱根で乗った。
-
第158回:アルファ・ロメオ考2020 2020.1.14 カーマニア人間国宝への道 清水草一の話題の連載。第158回は「アルファ・ロメオ考2020」。中高年カーマニアが、今、気軽に買えるモデルとは? 現行の「4C」「ジュリア」から、20歳オーバーの中古車まで、イタ車好きの筆者がアルファ・ロメオのラインナップに斬り込む。
-
第60回:輸入中古車LOVE(前編) 2017.9.26 カーマニア人間国宝への道 清水草一の話題の連載。第60回は「輸入中古車LOVE(前編)」。激安中古「BMW 320d」の購入に関連して、輸入中古車評論家・伊達軍曹との対談を送る。失敗しない購入方法とは? “伊達流”いいショップの見分け方に迫る。
-
アルファ・ロメオ・アルファGT 3.2 V6 24V(FF/6MT)【ブリーフテスト】 2006.9.30 試乗記 ……543万9000円
総合評価……★★★★
「アルファ・ブレラ」の登場ですっかり影が薄くなってしまった「アルファGT」。改めて、3.2リッターV6モデルに試乗して、ブレラが失ったアルファGTにしかない魅力を探る。