ジャガーFタイプ R AWD コンバーチブル(4WD/8AT)/Fタイプ R AWD クーペ(4WD/8AT)/Fタイプ S クーペ(FR/6MT)
まるで別モノ 2015.06.10 試乗記 ジャガーの2シータースポーツカー「Fタイプ」に、新たに4WDバージョンとMT仕様車が追加された。パワートレインの違いにより、その走りはどう変わったのか? アメリカ・ニューヨークで試乗した。ジャガーの“やる気”の表れ
名門英国ブランドの面目躍如であろう。「コンバーチブル」に始まって、美しいフォルムの「クーペ」を加え、パワートレインも本国では計3種類を用意するなど、2013年のデビュー以来、続々とラインナップの充実を図ってきたFタイプ。「2シーターのリアルスポーツカーとしては、もうこれで十分なんじゃないか」と思っていたら、予想に反し、3の矢、4の矢が放たれた。ジャガーは今、われわれが思っている以上に、血気盛ん、なのかもしれない。
2016年モデルとして新たに加わったのは、AWD(四輪駆動)モデルと、3ペダルの6段マニュアルギアボックスを備えるモデルである。前者はV6エンジンを搭載する「S」とV8エンジンを積む「R」に、後者はV6のベーシックモデルとSに、それぞれ設定された。本国ではボディータイプに関わらず選ぶことができるが、日本では、AWDがRのクーペのみ、6MTもSのクーペに絞り込まれている。
ともかく、合計14種類(本国)が用意されるという大所帯となったFタイプだが、そのうちSのバリエーションが、最も多い6つを占めている。名実ともにSこそFタイプの中核モデルであることは、この点からも明らかだろう。
3ペダルの“スティックシフター”の設定自体は、英国製スポーツカーとして大いに理解できる一方で、AWDに関していうと、なぜ今必要なのかと疑問をもつ向きもおられることだろう。その答えは単純明快なもので、高性能モデルをより多くの人に安全かつ快適に楽しんでもらうための選択肢の提供、というわけである。プレミアムカーセグメントのマーケット拡大という観点からも、それは不可欠な要素ということだろう。