一筋の光をもたらした「プリウス」

1997年は、バブル崩壊の現実が一気に顕在化した年である。隠し続けていた巨額損失が表面化し、金融機関が相次いで経営危機に陥った。バブルに浮かれた罪に対し、マーケットが審判を下したのだ。北海道拓殖銀行や山一証券が破綻し、野村証券や第一勧業銀行の幹部が不正に関わったとして逮捕された。神戸で起きた連続児童殺傷事件が暗い影を落とし、消費税増税が不景気に拍車をかけた。子どもたちは「たまごっち」にハマり、大人は薄っぺらい官能小説でウサを晴らしていた。

沈滞した社会に一筋の光をもたらしたのは、「トヨタ・プリウス」だった。環境問題が深刻化する中、「21世紀に間に合いました。」というキャッチコピーを掲げて世界初の量産型ハイブリッドカーが登場したのだ。ハイパワーに胸を高鳴らせていた1984年には想像もできなかった未来だが、新世紀に向けて必要とされる価値はまったく別のものになっていた。

『ターミネーター』シリーズが一貫して語っているのは、未来は変えられるという信念である。映画で描かれた1984年と1997年を振り返ってみると、現実の日本では大きく時代が転換していたことがわかる。残念なことにまだタイムマシンが開発されていないので、過去を書き換えることはできない。

『ジェニシス』では、2017年がターニングポイントとなる。戦いを終えた彼らは、「フォードT-350」に乗って平穏な生活に戻っていく。2年後の現実が穏やかで平和なものになるかどうかは、われわれが今いかに行動するかにかかっている。

(文=鈴木真人)

「トヨタ・プリウス」
1997年に登場し、当時としては驚異的な28.0km/リッター(10・15モード)という燃費が世間を驚かせた。2003年と2009年にモデルチェンジされ、燃費性能は格段に向上した。今年中に4代目が登場すると予想されている。
「トヨタ・プリウス」
    1997年に登場し、当時としては驚異的な28.0km/リッター(10・15モード)という燃費が世間を驚かせた。2003年と2009年にモデルチェンジされ、燃費性能は格段に向上した。今年中に4代目が登場すると予想されている。 拡大
(C)2015 Paramount Pictures. All Rights Reserved. 
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『ターミネーター:新起動/ジェニシス』
2015年7月10日(金)全国ロードショー
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
『ターミネーター:新起動/ジェニシス』
    2015年7月10日(金)全国ロードショー
    配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン 拡大
鈴木 真人

鈴木 真人

名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。

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