スバルBRZ tS(FR/6MT)
かめばかむほど味が出る 2015.08.17 試乗記 NISMO/無限/STI/TRDという自動車メーカー直系の4ブランドが、箱根で合同試乗会を開催。今回は、スバルのモータースポーツ活動を担うSTIが手がけた「BRZ tS」の走りをリポートする。コーナーひとつで魅力がわかる
あなたが本当のクルマ好きならば、コーナーをひとつ駆け抜けただけでこのBRZ tSの魅力がわかるはずだ。昨今の自動車評論では“リニア”という言葉が安売りされる傾向にはあるが、このtSこそ“リニアなスポーツカー”だからである。
ブレーキを踏めば踏んだだけノーズが沈み、ハンドルを切れば切っただけロールやヨーモーメントが発生し、アクセルを踏めば踏んだだけトラクションが得られる。装着タイヤ(ミシュラン・パイロットスーパースポーツ)の特性を理解した上で、その穏やかな“グリップの立ち上がり方”をジャマしない足まわりが、このBRZ tSにはおごられている。
グリップレベルも確かに高いのだが、STIがそれ以上に大切にしたのは、ピークグリップを得るまでの過渡領域のインフォメーションだ。そしてたとえ限界を超えても(要はタイヤが滑っても)、ピーキーな挙動にはならないだろうことが、その接地性の高さや、サスペンションのストローク感から予想できる。雨の日でも、晴れの日でも。サーキットでも、オープンロードでも。はしゃぐことなく、しかし質感の高い走りを味わわせてくれるはずと、BRZ tSを走らせて筆者は確信した。