輸出もしている
トリノ西郊にあるビジネス・オン・ザ・ロード社もしかりだ。創業者一族で1980年以来、この道35年のピエロ・ブルーノ氏に話をきく。
ここのところ、イタリアでは急速にアペを使った屋台が増えたが、その理由は? するとブルーノ氏は「ノスタルジーと機動性の両立だね」と教えてくれた。
ビジネス・オン・ザ・ロード社は、設計段階からクライアントとの綿密なディスカッションを行うのが売りだ。納期は35日から40日が目安という。
ブルーノ氏によると、イタリア国内ではリヴィエラ海岸を擁するリグーリア州の顧客が少なくないという。リゾート地にたたずむジェラート屋台が目に浮かぶ。
輸出も行っている。イギリスでは「ガス設備を車両に搭載してはいけない」といった法規をクリアする苦労があるものの、「欧州各国はもとより、イスラエルや北米などにも輸出しています」という。
たしかにボクも、いろいろな国で「こんなところでアペ屋台が」と驚いたことがある。イタリア風情のアンバサダーとしては、フェラーリかそれ以上の役目を負っていることは事実だ。
そのうえ、ラテン系ノスタルジー屋台の素材車として、一方の雄である「シトロエンHトラック」が絶版なのに対し、アペはまだ“元ネタ”が現役だ。これからもますます世界各地に増殖してゆく可能性がある。
歴史をひもとけば、かのベルトーネも、草創期の1920~30年代には、トラックやバンの架装を手がけていた。そうした意味でアペの架装業だって、立派なカロッツェリア・イタリアーナなのである。

大矢 アキオ
コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』、『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。
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