残るドイツ風情を探して

いっぽう、今日のフランクフルトのメインストリート、ツァイルはどうだ。H&M、ZARA、ESPRITといったヨーロッパ中どこにでもあるファストファッションの店が立ち並んでいる。もしボクがGoogleストリートビューのペグマンとなって、いきなり町のド真ん中に降ろされたら、フランクフルトとわかるまで数十秒を要するだろう。
ヨーロッパ屈指のビジネス街に、ドイツ旅情を求めること自体がナンセンスとわかりつつも、わずかに残る風情を求めて、さまよってみた。

まずは、歩きながらヴュルストヒェン(小さなソーセージ)入りパンを売るおじさんに遭遇した。だが、あまりにコテコテで、こちらのほうが恥ずかしくなってしまい、激励だけして撤収した。
雨が強くなってきたのでドラッグストア「dm」に入る。もともとはドイツのチェーンストアで、店舗拡大当初は楽しかったものだが、今や東欧にも進出していて、新鮮味が薄い。しかし、店内をあれこれ見てみると、あったあった、「Rotbäckchen(ロートベックヒェン)」(赤い頬の娘)。1952年に発売されたドイツの伝統的栄養ドリンクである。
これを数本仕入れ、ホテルへと戻り、部屋に向かうエレベーターに乗った。ドイツのエレベーターの操作盤には、「E」と「U」と記されたボタンがある。前者はErdgeschoss(エルトゲショス=日本式1階)、後者はUntergeschoss(ウンターゲショス=地階)を表す。ドイツに通い始めた20代、それを見ただけでシビれたのを思い出した。

メインストリート「ツァイル」にて。歩きながらソーセージを売るおじさん。
メインストリート「ツァイル」にて。歩きながらソーセージを売るおじさん。 拡大
ドイツにおける典型的なエレベーター操作盤。1階を示す「E」と、地下を示す「U」のボタンがある。
ドイツにおける典型的なエレベーター操作盤。1階を示す「E」と、地下を示す「U」のボタンがある。 拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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