低価格を前面に

もらったカタログを開くと、キャッチコピーが目に飛び込んできた。

「Ci vuole poco per avere tanto」。

直訳すれば、
「わずかな費用で、たっぷり(装備)」
といったところだ。かなりベタである。

実際の装備内容は、オートエアコン、バックセンサー、16インチアルミホイール、ステアリングコマンド付きBluetooth対応オーディオ、雨滴感知式ワイパーなどなど、てんこ盛りなのにもかかわらず、オープニングエディションの価格は1万2500ユーロ(約167万円)からである。

セールス氏はこう解説する。「従来『フィアット・パンダ』だったら、人気のディーゼルモデルが買えない値段。それで、立派なベルリーナ(セダン)が手に入るところが売り」。
同時に、「ドイツブランドのトラディショナルなセダンが欲しくても、今日イタリアの子持ち家族で4万ユーロ(約530万円)近い金額が払える人はそう多くない。そうした人々にも訴求力があると思う」と付け加えた。
ちなみに、アップルをはじめとする製造国を忘れてしまうスタイリッシュな電子ガジェットが普及し、ポーランド製の500が大成功した今、この新型ティーポがトルコ製であることは、大してマイナスイメージにはならないであろう。

そのセールス氏は、併せて、
「今日、イタリアでクルマを買うユーザーは、最初からディスカウントありきと思ってショールームに来店する。そこから始まる交渉は、顧客・ディーラー双方にとって、あらゆる意味でロスが多い。対して、ティーポは値引きなしの明朗価格による販売。よりクリアな取引への一歩」と強調する。

「フィアット・ティーポ オープニングエディションプラス」の5インチスクリーンには、タッチ式ナビゲーションシステムも標準装備される。データは欧州でPNDメーカーとして高い知名度を誇る「トムトム」のものを使用。ただし、画質はプレミアムカーから比べると、それなり。
「フィアット・ティーポ オープニングエディションプラス」の5インチスクリーンには、タッチ式ナビゲーションシステムも標準装備される。データは欧州でPNDメーカーとして高い知名度を誇る「トムトム」のものを使用。ただし、画質はプレミアムカーから比べると、それなり。 拡大
わが街シエナのFCAディーラーに展示された「フィアット・ティーポ」。
わが街シエナのFCAディーラーに展示された「フィアット・ティーポ」。 拡大
520リッターのトランクルーム容量もセールスポイントのひとつである。
520リッターのトランクルーム容量もセールスポイントのひとつである。 拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。21年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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