ランボルギーニ・ウラカンLP580-2(MR/7AT)
操る喜びを取り戻せ 2016.01.12 試乗記 「ランボルギーニ・ウラカン」に後輪駆動モデルの「LP580-2」が登場。最高出力を30ps落としてまでランボルギーニがこのクルマで追求したものとは何か? 4WDモデルとは一味違う、その魅力に触れた。パフォーマンスとデザインがすべてか?
「スーパーカーとはなんぞや」と問われれば、まずもって見る者に有無を言わさぬ圧倒的な存在感が、いの一番に挙げられるだろう。逆に言えば、パフォーマンスは二の次とするのにさほど異議を唱える人はいないのではないか。特にスーパーカー世代にとっては、300km/hだの302km/hだのと散々ときめかされたその数字が、後になって現実と程遠いものだったと知り、かつそれらよりもよほど安くて速い日本車を90年代に体感し、いつしかスーパーカーは形だけのものになっていたのではないだろうか。
しかし1990年代後半以降、事業の上向きを追い風にスーパーカーカテゴリーは再び往時の輝きを取り戻してきた。一部のスペシャルモデルでなくとも300km/hが確約されるようになったのは2000年代前半、ポルシェの「991ターボ(996)」や「フェラーリF430」の登場あたりからだろうか。その後はあっという間の出来事である。コンピューターの高速化による解析密度の向上および電子制御技術の進化、軽量素材の普及うんぬん……に加え、なによりタイヤの性能が劇的に上がり、中には400km/h超えを果たすモデルまで登場してきたのが、このカテゴリーのここ10年の動きだ。
かくして、幾千万円のお金を用意せずとも、近所の日産に行けば世界最速のパフォーマンスが手に入る昨今である。じゃあスーパーカーと呼ばれるもののあり方は何なのか。最新かつ最良を追うことに疲れた一部のカスタマーが抱くその疑問符が、例えばクラシックの活況を支えている。こうなると、ますますスーパーカーの価値はさまよい続けることになるわけだ。もちろん最新最速を突き詰めるのもひとつの道。いや、正道だろう。が、実はここにいるカスタマーの多くはこんなことを考えているのかもしれない。
あのサーキットであのクルマよりコンマ何秒速いみたいな、商品価値の数値化はもう追い切れない。それよりも、自分がとことん楽しんで満足できる商品価値をくれ、と。
ランボルギーニ・ウラカンのいちバリエーションとして登場したLP580-2。結論を先に記せば、その答えはここにある。