なかなかの実力者

企業が福利厚生の一環として従業員に貸与する「カンパニーカー」の分野でも、フォードはバリュー・フォー・マネーの観点から欧州で高い評価を得てきた。特に近年の経費節減傾向のなか、「モンデオ」は“ドイツのプレミアム3”に代わるクルマとして使われ、一部で「ザ・カンパニーカー」の異名を獲得するに至った。

レンタカーの世界においても、フォードはオペルと並んでポピュラーである。ボク自身、各地でフォードのレンタカーに“あたった”経験がある。最後に借りたのは現行型フィエスタ(初期モデル)であった。

スタイリッシュな今日的エクステリアを持ちながら、後席のヘッドクリアランスを含め、室内は圧迫感がない。ガソリン仕様の1.2リッターというスペックから想像できぬトルキーなエンジンは、適切なギア比設定と相まって、起伏に富むトスカーナの郊外路を気持ち良く走ることができた。同時にアウトストラーダで、アグレッシブな走りをみせる周囲のクルマに引けをとることなく、制限速度の130km/hでクルーズできるのには驚いた。これなら、特にブランドにこだわりのないイタリア人が購入するわけだ。

しかし、レンタカーで乗ったさまざまなフォード車について、もうひとつ記すべきことがある。それはずばり、「フォードであったのを忘れてしまうこと」だ。
最後に借りたフィエスタは900km以上、かつてサルデーニャで乗った先代フィエスタにいたっては1週間以上も行動をともにしたにもかかわらず、である。同乗していた女房にしても同じだ。ボクがこういう仕事柄、乗ったクルマはそれなりに覚えているのだが、フォードに乗ったことをすっかり忘れてしまうことが少なくない。フォードとはそういうクルマなのである。

こちらは“いまのモデル”。6代目となる現行型「フォード・フィエスタ」。
こちらは“いまのモデル”。6代目となる現行型「フォード・フィエスタ」。 拡大
レンタカーの5代目「フィエスタ」でサルデーニャ島を行く筆者。2003年。
レンタカーの5代目「フィエスタ」でサルデーニャ島を行く筆者。2003年。 拡大
同じく、サルデーニャ島でのひとコマ。
同じく、サルデーニャ島でのひとコマ。 拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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