フィアット500ツインエア ラウンジ(FF/5AT)
“愛されキャラ”の確かな進化 2016.04.01 試乗記 2007年のデビュー以来、初のビッグマイナーチェンジが加えられたフィアットのコンパクトカー「500」。イタリアを代表する自動車界の“愛されキャラ”は、大幅改良によって何がどう変わったのか? その変化の内容をリポートする。変わったのは見た目だけにあらず
フィアット500に初めてといえる大掛かりなマイナーチェンジが行われた。というと「どこが?」と感じる方もおられるだろう。そう、パッと見ではなじみ深い姿に相変わらずの“陽気な友達”な雰囲気。だけど、どこか違う。そんな感じなのだ。
でも、よくよく見ていくと結構変わっている。エクステリアではフロントグリルの形状が変わり、その左右にガーニッシュが追加され、ナンバープレートの真上に長めのモールが配された。ランプ類に関しても、ポジションランプが大型のLEDデイライトとなったほか、ヘッドランプも立体感のあるデザインとなった。テールランプは中央にボディー同色のパネルが見えるドーナツ型のものに改められ、バックランプとリアフォグランプはバンパー下に移設された。そしてもちろん前後バンパーの形状そのものも変更されており、結果、全体的にエレガントで高級感のある趣となった。
インテリアでは、ダッシュボードに5インチのタッチスクリーンが埋め込まれ、USBなどの外部入力端子と合わせて、スマートフォンや音楽プレーヤーとの連携や、携帯電話のハンズフリー通話などに対応できるようになった。またオプションだが、この5インチモニターの代わりに7インチのナビを埋め込むことも可能だ。シートもヘッドレストの形状が変更され、生地がチェックやヘリンボーン柄の絶妙にしゃれたものになった。
……いや、書き切れない。なにせ細かなパーツまで含めれば1900にもなる変更がなされているのだ。その一方で、パワートレインやサスペンションまわりといったメカニカルなパートに関しては、何ひとつアナウンスがない。変更はない、ということなのだろう。けれど実際に走らせてみたら「あれ?」と感じられるくらいに違っていたから驚かされた。
試乗したのはツインエアエンジン搭載車だったのだが、ツインエア特有の楽しさはそのままに、サウンドはやや静かになり、振動も減ったように感じられた。デュアロジックの変速スピードもわずかに速くなり、スムーズさを増している。サスペンションも同様で、乗り味が少し締まったように感じられる反面、動きのしなやかさも増していて、高速域でのフラット感も心なしか高くなっている。コーナーではさらにクルッと気持ちよくターンしてくれる感覚が強くなったように思える。全体的に、微妙だけど確実な進化を遂げていることが分かるのだ。
もちろん機構的には変更はないのだろう。けれど、おそらくさまざまな部分に“熟成”という名の魔法がていねいに振り掛けられている。販売が好調なモデルに手を入れるのはリスキーでやりにくいものだが、フィアットはそれを見事にクリアしたのだ。と同時に、デビュー10周年を前にしたこの小さな技の集大成は、持ち前の“愛されキャラ”を大事にしつつ、まだまだこのクルマを作り続けることの意思表示。それがとても喜ばしいことに思えるのは、僕自身がこのクルマのキャラクターを愛しちゃってるからなのだろうか?
(文=嶋田智之/写真=田村 弥)
【スペック】
全長×全幅×全高=3570×1625×1515mm/ホイールベース=2300mm/車重=1040kg/駆動方式=FF/エンジン=0.9リッター直2 SOHC 8バルブ ターボ(85ps/5500rpm、14.8kgm/1900rpm)/トランスミッション=5AT/燃費=24.0km/リッター/価格=259万2000円
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
