第2回:プジョー208アリュール シエロパッケージ
フランスの美意識が息づいている 2016.04.20 最新モデルが語る PEUGEOTの“今”<PR> フランス車ならではのしゃれた雰囲気と、取り回しのしやすいコンパクトなボディー、そして快活で気持ちのよい走りが身上の「プジョー208」。新しいパワートレインを得て、その走りはどう変わったか? 3人の論客が208の魅力を語り尽くす。【どんなクルマ?】
デザインや装備だけでなく、走りのよさも魅力
日本ではおしゃれ感度の高い人や、走りにコダワリを持つ層を中心に人気を得てきたプジョー。そのなかでも、強豪ひしめくコンパクトカークラスにおいて、自分流のスタイルでクルマを乗りこなす楽しみを与えてくれる存在といえば208の名が挙げられるだろう。
最近のプジョーは美しく繊細に描かれたデザインに洗練性が息づいているが、それに加えて208は、2015年10月のマイナーチェンジでスポーツ性を際立たせた意匠に変貌を遂げた。今回試乗したのは、快適装備をプラスした「208アリュール シエロパッケージ」。ドアミラーはクロム仕立て。フロントグリルにも周囲を取り囲むようにクロムアクセントを配し、リアウィンドウにはスーパーティンテッドガラスを標準装備するなど、上質感とスポーティーさを表現した仕様となる。さらに、208のラインナップで唯一の設定となるガラスルーフは、車内に自然光を取り入れられるだけでなく、後席の乗員にとっては視界が開けてドライブ中に開放感が得られるところもうれしい。また周囲が暗くなると、車内ではガラスルーフのふちに仕込まれたブルーの間接照明がともり、室内の雰囲気をムーディーに演出してくれることが新感覚のドライブ体験に結びつく。
デザインや装備の進化以上に話題になっているのが、パワートレインの刷新だ。これまでにも設定されていた4気筒の1.6リッター直噴ターボエンジン+6段MT、3気筒 1.2リッターの自然吸気エンジン+5段MTに加えて、「スタイル」「アリュール」「GTライン」の3つのグレードには、「インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー2015」を受賞した“ピュアテック”3気筒1.2リッター直噴ターボエンジンが採用され、6段ATが組み合わされた。小排気量エンジンだけに、さまざまなシーンでの扱いやすさが気になるところだ。
【乗ってみると?】
新しいエンジンの実力はクラストップレベル
それにしても、208アリュールのファブリックシートは実に体の収まりがいい。乗り降りしやすいおおらかな形状にも関わらず、腰を落とすと体圧が分散されてシートに体が密着する。自然な体勢がとれて、体がブレにくく、長く乗っても体への負担が少ないため長距離をドライブしても疲れにくそうだ。小径ステアリングホイールを低めに握り、メーターを見下ろす運転姿勢となるコックピットは、ステアリングに手を添えるとドライバーの脇が自然に締まる秀逸な設計になっている。表皮は滑らかな手触りの革巻きで、手のひらになじむその感触が心地いい。
また、ステアリングのギアレシオはクイックな設定で、交差点やカーブを通過する時は少し切り足すだけで楽に曲がっていくことができる。腕力が弱い女性にとっては切り遅れが少なくなるぶん、街乗りでもたつきにくくなり、これが取り回しのしやすさにつながる。
1.2リッターの直噴ターボエンジンは走りだしから滑らかな回転フィールが得られ、3気筒だということを忘れてしまいそうなほどに振動が少ない。それでいて、持ち前の出足の軽さは健在。このエンジンにはアイドリングストップ機構が備わっていて、エンジンが再始動して発進する際、わずかに腰を沈めて加速し始める様にプジョーらしい“粘り腰”を感じる。発進加速では、アクセルペダルに軽く力を込めればドライバーが求める車速に達する感覚で、タイヤからは路面をしっかり捉えて走る安心感が伝わってくる。1.2リッターの小排気量ターボでありながら、低回転からしっかりとトルクを発生するあたりは見事なもの。一定の車速で走る際には低いエンジン回転数で流せることから、低燃費走行にも貢献してくれそうだ。
街中で加減速を繰り返すシーンでは、6段ATが滑らかに変速しながらエンジンの力を引き出し、ドライバーは混み合った交通環境でもトランスミッションの存在を意識することなくクルマを走らせることができる。走行中は横風にあおられにくく、路面のうねりを通過するときはいったんフワリとそれを乗り越えるしぐさをみせながらも、その後の姿勢の収まりはいい。クルマをイメージ通りに操縦できる楽しさに加えて、安定性の高い走りもプジョー持ち前の魅力といえるだろう。
一方で、高速道路の本線に合流する場面では、アクセルを踏み込むと軽快な音色を奏でながらエンジンが回転を高めていく。その際、無理をして力を絞り出しているとは感じられず、むしろ余裕を持って走らせていると思えるほどだ。名実ともにトップクラスの性能を発揮する3気筒のターボエンジンは、日常使いから遠出するシーンまで、そのメリットを実感させてくれる。
【こんな人にオススメ】
どんな要望にも応える多彩なバリエーション
プジョー208アリュールは、内外装の洗練されたデザインに加えて、新たに設定されたパワートレインが、今の時代に求められる環境性能と優れたパフォーマンスを両立させた走りをかなえているモデルだ。さらに208全体に関していえば、購入する上で豊富なバリエーションが展開されている点も特筆すべきポイントで、5ドアと3ドアという2種類のボディータイプ、3種類のパワートレイン、そして装備の違いからなる7グレードもの豊富なバリエーションから、欲しい装備や好みに合った一台を選択できるようになっている。
安全面では、赤外線レーザーを用いていざという時の衝突被害を軽減する「アクティブシティブレーキ」を「スタイル」(5MT)以外の全グレードに標準装備。そのほかにも、縦列駐車時にステアリングの操作をサポートする「パークアシスト機能」も設定されている。
車両本体価格は199万円からスタートして、頂点に君臨するスポーツモデルの「208 GTi by PEUGEOT SPORT」は368万6600円となっている。扱いやすく、親しみの持てる日常の相棒や、スタイリッシュに乗りこなすファッションアイテム、さらには軽量コンパクトな資質を生かした実用スポーツモデルまで取りそろえたプジョー208。そこには、自分なりのスタイルを確立してステキな人生を送りたいと願う、フランス人ならではの美意識が息づいており、それも208ならではの懐の深さといえるだろう。
(文=藤島知子/写真=荒川正幸)
【クロスレビュー:下野康史】
欧州3気筒コンパクトのベストチョイス
新開発の直噴1.2リッター3気筒ターボに、6段ATを組み合わせたのが208アリュールの最新モデルである。最初の208が1.6リッター4気筒をメインにしていたことを振り返ると、ヨーロッパ車のトレンド“ダウンサイジングターボ”を地で行くスペックといえる。
乗ってみると、従来の自然吸気1.2リッター3気筒モデルと比べても、ワンランク車格が上がったかのような進化が実感できる。
12.0kgmから20.9kgmへと、一挙に7割増しになった最大トルクは、しかも1500rpmという低回転で出る。おかげで、1.2リッターなのにさして回転を上げなくても力強く走る。一方、フルスロットルを踏めば、レッドゾーンの始まる6000rpmまできっちり引っ張る。直噴ターボ化で静かになったとはいえ、トップエンドではかろやかな3気筒サウンドがかすかに漏れて、楽しい。
さらに車格アップ感を決定づけるのは、アイシン・エィ・ダブリュ製の新しい6段ATである。変速スピードも変速マナーも、多少不器用なところがあったこれまでの5段セミオートマをしのぐ。さすがのトルコン式フルATである。
そういったメカの部分を離れて、208すべてに共通する魅力は、このクルマの与える“コンパクト感”だ。
運転席に座ると、コックピットはタイトである。ドライバー正面のメーターをハンドルが邪魔しないように、ステアリングホイールを小径の楕円(だえん)にした。天地方向の直径は33cmしかない。しかも電動パワステはロック・トゥ・ロック2.5回転とクイックだから、操舵(そうだ)感覚はライトウェイトスポーツカーのようにコンパクトだ。そのため、コンパクトなサイズ以上にボディーをコンパクトに感じる。ワインディングロードでも、狭い街中でもうれしいチャームポイントだ。
そういうカタログスペックに表れない魅力が208の真骨頂である。欧州コンパクトを買うと、3気筒エンジンが付いてくる時代になった。そのなかにあって、3気筒コンパクトをファン・トゥ・ドライブ(運転の楽しさ)で選ぶなら、208がベストだと思う。
(文=下野康史<かばたやすし>/写真=荒川正幸)
【クロスレビュー:山田弘樹】
エンジンも足も、なにもかもが“ちょうどいい”
もう、笑っちゃう。破顔一笑とはこのことだ。その心地よくタイトなシートに身を埋め、小さなステアリングを回した瞬間から、体中に“プジョーライド”がジュワ~ッと押し寄せてくる。ハンドルを切ったときの初動こそ“ピッ!”とビビッドな反応を見せるけれど、それは元気さをアピールするごあいさつ。そこからさらに切り込んでいけば、遅過ぎもせず、速過ぎもしない、“ちょうどいい”ロールスピードでサスペンションが沈みだし、最後はほどよいグリップ感で車体を支えてくれる。
Bセグメントのコンパクトさと、クラスをちょこっと超えたロードホールディング感。プジョーには韋駄天(いだてん)の「GTi」シリーズやクロスオーバーの「2008」などもあるけれど、フツーのコンパクトハッチこそがこのブランドの原点なんだと、あらためてかみしめた。
だってタイヤの幅なんて195mmしかないのだ。乗り心地を確保するために偏平率は55%とファットだから、フツーなら横Gにも弱いはず。それでも深まる車体のロールに恐怖感はなく、むしろ運転の楽しさを感じてしまうのは、タイヤ、ダンパー、スプリング、ブッシュといった素材が、ボディーの剛性に対して、やはり“ちょうどよく”整えられているから。
3気筒のエンジンは110ps/20.9kgmのアウトプットでしかないが、低中速トルクが素早く立ち上がる直噴ターボのおかげで、1180kgのボディーを、やっぱり“ちょうどよく”走らせる。これ以上速くてもいいけれど、これでもいい。
これだけ気持ちよく走るのなら、マニュアルトランスミッションが欲しくなるのも事実だが、新たに搭載されたトルコン式の6段ATは変速のレスポンスもよく、これなら誰もが乗れるなぁ……と納得できる。
なにかが特別というわけじゃない。フツーの素材を上手に料理しているから、この味が出る。つまり、シェフがいいのだ。まるで一流フランス料理店のシェフが、家庭料理を作ったかのようなクルマ、それが208アリュール。これぞベスト・プジョーだと筆者は思います。
(文=山田弘樹/写真=荒川正幸)
車両データ
プジョー208アリュール シエロパッケージ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3975×1740×1470mm
ホイールベース:2540mm
車重:1180kg
駆動方式:FF
エンジン:1.2リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
トランスミッション:6AT
最高出力:110ps(81kW)/5500rpm
最大トルク:20.9kgm(205Nm)/1500rpm
タイヤ:(前)195/55R16 87H/(後)195/55R16 87H(ミシュラン・エナジーセーバー)
燃費:15.9km/リッター(JC08モード)
価格:256万円
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