悩み多きボールペン選び

代表的なもうひとつの筆記具、ボールペンに話を移そう。

かつて記したことがあるが、カーグラフィック初代編集長の故・小林彰太郎氏が、新入社員だったボクに「これが一番いい」と教えてくれたのは、黄色いボディーの超スタンダードなビック製ボールペンだった。

たしかにインクの滑らかな出方といい、ペン先の弾力、紙との摩擦の感覚といい、絶妙だ。それでもって安い。コストパフォーマンスが極めて高かった。そのため、ボクは独立してからも愛用した。

欠点は、「キャップがあること」だった。ショー会場などでの取材時、いちいちキャップの着脱などしている暇はない。といって、キャップを取ったままポケットに入れるのは服を汚す原因となる。ワイシャツに付着してしまったボールペンのインクは、取れにくいものだ。

というわけで、芯がリトラクタブルなボールペンを選ぶことになる。「クロス」は、そのアールデコ風デザインが好きだが、ボディーを半ばからねじって芯を出す構造であるため、両手を使うことになる。片手にメモ帳を持っていると、ペン先の出し入れが難しい。それにクロスは、現場でうっかり紛失しようものなら泣けてくる価格である。

その点、「ファーバーカステル」のボールペンはクロスよりも安く、滑り止めのエンボスがドライビングシューズのごとく付いたデザインがモダンだ。だが、全長がやや長めで、取材先でポケットに入れておくには少々かさばった。

ドイツの筆記具店ハイツマンの店先にて。
ドイツの筆記具店ハイツマンの店先にて。 拡大
ハイツマンの名物店長。ドイツのお店にしては珍しく、スイス製のカランダッシュを扱っている。
ハイツマンの名物店長。ドイツのお店にしては珍しく、スイス製のカランダッシュを扱っている。 拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。20年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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